私立戦国高等学校

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今日は女の子達の決戦の日、バレンタインデー。

男にとっては何個もらえるか、あるいはくれる人はいるのか、という緊張の一日である。

女にとっては好きな人に告白する超一大イベントだ。

しかし、2年B組の女性陣はなぜか冷めていた。


「ぶっちゃけ、チョコあげたくなるようないい人いないよねー」


「うんうん。うちの男共ってボケすぎてまともな人いないし」


「はぁー…いい人いないかにゃ〜」


と溜め息をついているのは上から、甲斐姫、愛奈、くのいちだ。


「ケッ、くのいちには幸村がいるくせに」


「そうよ!幸村様にあげればいいじゃん!!」


「な、二人とも何言ってんの!?
無理に決まってるじゃん!」


くのいちはしっかり乙女だった。


「なぁ、清正〜!
俺にも一個くらい食わせてくれよ!!」


「好きなだけやるよ」


「クッソォ!なんで清正と頭でっかちばっかり大量に貰ってんだよぉ!!」


モテない正則はなんか可哀想だ。

女性陣は冷めているものの、B組の生徒はなぜだかモテる奴が多かった。
清正や三成はもちろん。

幸村や政宗、元親や半兵衛もろもろその他、とにかくモテていた。

そして、モテる兄とモテる幼なじみを持つ愛奈は大忙しだった。


「あの…石田さん!これ、三成くんに渡してもらえない?」


「いいよ。任せて!」


どうでもいいと思う一方、恋してる女の子ってかわいいな…なんて思っていた。

お兄ちゃんのモテる遺伝子、私にもあれば良かったのに。
完全に兄貴に栄養吸い取られたパターンだよ、私。

なんて、最初は呑気なこと考えてたけど、清正にチョコを渡したとき、胸がチクッと痛くなった。


「これ、後輩の女の子から」


「おう、サンキュ。」


どうでもいいような顔で受け取る清正だけど、内心喜んでるかもしれない。

照れてるだけかもしれない。

いつか彼女とかできちゃうのかな…

もう心に決めた人がいるから振りまくってるだけなのかな…

まあ、清正なんてただの幼なじみだからどうでもいいけど。
そう思った瞬間、どうしようもないくらい胸が苦しくなって、呼吸の仕方もわからなくなって…

思わず教室を飛び出した。


「ちょっ、おい!愛奈!!」
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