私立戦国高等学校

□02
1ページ/3ページ




文化祭は誰だって少しは浮かれるものである。

そういうイベントでは、必ず喧嘩やナンパといったトラブルが起きる。

例えばここだ。


「い、いらっしゃいませ、ご主人様」


「いやぁ愛奈ちゃん、普段のセーラー服姿もいいけど、メイド服となると一段と可愛さに磨きがかかるな〜!」


「あはは…そりゃどうもありがとうございます!」


そう言うと、愛奈は自分の太ももを撫でる孫市の手をひねり上げた。


「痛てててて!…そういう気が強いところも俺好みだぜ…」


なんで私がメイドな訳!?

私、厨房回りたかったんだけど…。


「おい清正、見てみろよ!あいつ一丁前に口説かれてるぜ!」


「フッ、あいつを口説くなんて…物好きだな」


それを陰から覗いて笑っているのは清正と正則だ。


「孫市先輩、いい加減にしないと訴えますよ?」


「そう言わねぇで、俺にあーんしてくれよ」


「おや、愛奈さんじゃないですか!
メイド服似合ってますよ?
どうです?この左近と回りませんか?」


「げっ、左近先輩!仕事中なんで遠慮します。
てか、政宗!あんたの連れどうにかしてよぉ!!
お兄ちゃん、助けて!」


「おい、左近。こいつを口説いても何も出んぞ?」


「と、殿!わかりましたよ!離れますからそんなに殺気立てないでください!
…このシスコンめ…(ボソッ)」


孫市も結局、政宗によって愛奈から引き離された。

そして、ツカツカとヒールを鳴らしながら清正逹に近づく。


「ちょっと、あんたら!そこでしゃがみ込んでコソコソと…何見てんのよ!?」


「うぉっ!?バレてたのかよ!」


「バレバレだわ!なんで見てたくせに助けてくれないのよ!?」


「お前が口説かれるなんて千年に一度くらいだと思って、邪魔したら悪いだろ?」


「ウザっ!死ね清正!」


「痛っ!俺が悪かった!」


「ま、わかればいいのよ!」


「なぁ愛奈、パンツ見えてるぜ!?ピンクの水玉の…ギャアアアアア!」


正則に雷が落ちたのは言うまでもない。


そして文化祭恒例なのが、体育館のステージを使った軽音部によるライブだ。


「翼を広げ〜夢掴むんだ〜♪
永久の約束の果てに〜♪
ギターソロ、長宗我部元親ぁ!ワォ!」


ギュインギュイーン!


ボーカルのシャウトからの元親のギターソロ。

てか、歌詞ありきたりすぎるだろ。

でも一応客はいた。


「元親、かっこいいのじゃ!
父上、妾もギターとやらをやってみたい!」


「ガ、ガラシャにはもう少し女子らしいほうが…」


父親は大変だ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ