鈍感な幼なじみ

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食堂へ行くとユリアとマルコがなにやらコソコソと話していた。

ユリアは顔を赤くさせたり青くさせたりしている。

なんだよ、マルコの野郎。

ユリアと仲良さげにしやがって。

ユリアはマルコのことが好きなのか?

気にいらねぇ…。


「ジャンが馬鹿だって話してただけだよ」


んなわけねぇだろ。

なんで俺の話をしてユリアは顔を真っ赤にしてんだよ。

そんなに俺には言えねぇ話なのか?

あー、やべ。

俺、一丁前に嫉妬してる。

ユリアは俺の彼女じゃないのに。


「なぁ、お前マルコが好きなのか?」


マルコやみんなが先に部屋に戻り俺らだけが残った。

俺はユリアの否定の言葉が聞きたくてこんなことを聞いた。

でも俺が聞いたのは望んでいた答えとは違った。


「なんで、ジャンに教えなきゃいけないのよ」


「あ?なんでってそりゃあ…」


「別に私が誰を好きであろうとジャンに言わなきゃいけない義務は無いでしょ?」


何だよ…マルコには言えて俺には言えないのか?

無性に苛々した。


「んだよ、別に好きな奴が誰かくらい教えてくれたっていいだろ」


「良くない。
私がマルコを好きだろうがなんだろうが私の勝手でしょ?
ミカサが好きなくせに、私の恋愛事情に口出さないでよ!!」


なんで俺はいつも空回っちまうんだ?

ユリアが好きなだけなのに…


「ユリアはいつもいつもミカサばっかり言いやがって…
俺の気持ちも知らねぇ癖にわかったような口利いてんじゃねぇ!」


ユリアはその大きな瞳いっぱいに涙を溜めていた。


「…クソッ、」


俺は誰にも聞こえないような声で言った。


「どうすりゃいいんだよ…」


好きと言えばいいのか?

そしたらお前は俺だけを見てくれるのか?

そんなことあるはずがない。

この関係が変わってしまうことを恐れて、自分の気持ちひとつ伝えられない俺は誰よりも臆病で弱かった。
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