鈍感な幼なじみ
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それは対人格闘の訓練中の出来事だった。
私はまたサボろうとしているジャンを捕まえた。
「めんどくせえ」
「憲兵団ならこれも重要でしょうが!」
「チッ、仕方ねえな。
じゃあ、俺がゴロツキ役で」
「いいよ。…来い!」
あれ…?ジャンの動きが変だ。
いつもと違って真っ正面から突っ込んでくる。
…バカだなぁ。いつもサボってるから。
私は足を引っ掛けた。
そして見事に転倒するジャンが視界の隅に映る。
しかしなぜか私もジャンと共に倒れた。
あ、あれか?巻き添えか?
「うわっ、あぶねっ!」
「ちょ、バカ!」
私は次に背中に来るであろう衝撃に備えて目を閉じた。
でもいくら待っても一向に衝撃はこなかった。
恐る恐る目を開くと…なぜか目の前にはどアップのジャンの顔があった。
唇にはなにやら柔らかい感触。
向こうも驚いてるようで、見開かれたその瞳と目が合う。
その距離………0cm!?
いやいや、ちょっと待て!
これってもしかして、もしかしなくても、私がジャンに馬乗り(馬面だけに…プッ)になってキスしてるってことなの!?
いや…そんなわけっ!
「ユリアっ!」
マルコによって体も持ち上げられる。
「クゥッ…!今日は一段と暑いぜっ!」
「お前ら…!何盛ってんだよ!」
「ユリアがジャンを押し倒してる!?ズルいぞジャン!」
「ああっ!ユリアに馬面が移ってしまいます!!」
「あははははっ!最高!盛んだなぁお前ら!」
「コラ、ユミル!ダメでしょ!」
やたらと暑いと手で仰ぐコニー、冷や汗をかいて青ざめるライナー、意味不明なことを口走るエレン、馬面が移ると心配するサシャ、大爆笑するユミルとそれを止めるクリスタ。
あのー、弁解してもいいですか?と、私とジャンの声が被った。
そして、真似すんなよ、という声も被った。
何これ、何の罰ゲーム?