鈍感な幼なじみ
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ああ、もう。またやってる。
「こら、ジャン!またケンカして!」
「エレン、またすぐ熱くなる…」
二人のケンカを私とミカサで止めるというこの光景は訓練兵の名物となりつつある。
「「本当、幼いんだから」」
私はジャンを、ミカサはエレンをずるずると引きずっていく。
「は、離せよユリア!
元はといえばエレンが!」
「喧嘩両成敗!」
その場から離れ、二人で話せる場所まで連れてきた。
「そんなんだからいつまで経ってもミカサが振り向いてくれないのよ?」
「だから、俺はミカサは好きじゃねぇ!」
「またまた、照れちゃって〜!」
入団式を終えた日の夜、ジャンはミカサに一目惚れした。
『綺麗な髪だ』なんて言って、顔を真っ赤にして…
あれはどう見ても惚れているなと思った。
それと同時に失恋したんだなって気付いた。
それでも、ジャンがミカサを好きなように、私もジャンが好きな気持ちは変わらない。
私ならジャンだけを見てあげられるのに…
なんて、私はどこのポエマーだっての!
「なあ、ユリア。
お前、俺がミカサを好きだって本気で思ってんのか?」
「本気も何も、事実でしょ?」
幼なじみとは誰よりも近くて、誰よりも対象に入れてもらえない、そういうポジション。
私もミカサも幼なじみのことになると、片思いしてるただの女の子になってしまう。
ホント鈍感なんだから。
ねえ、私の気持ちに気付いて…?