短編

□嫌いなんじゃない
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「ゾンビマン!ビールとたこ焼き買ってきたよ!」


「おう、サンキュー…って、お前今たこ焼きって言ったか!?」


「言ったけど?
…もしかして嫌いだった?おつまみにしようと思ったんだけど…」


「い、いや、嫌いじゃねえよ!?マジで!
あー早くたこ焼き食いたいぜ!!」


そう言いつつも、ゾンビマンは内心焦っていた。

あんな訳わかんねぇタコが入ったたこ焼き食えねぇよ!

しかも名無しさんのやつ、捨てられた子犬みたいな目で俺を見てきやがる。

食わざるを得ないか…。

いや、でも何十本も足があるタコを食うのか俺は!?


「食べないの?冷めちゃうよ?」


「ああ、食べるに決まってるだろ」


「ねえ、やっぱりタコ嫌いでしょ?
ココ、引きつってる」


そう言って名無しさんは俺の頬に触れてくる。

俺自身、ついこの間に気持ち悪い事実を知らされるまではたこ焼きは好きだった。

でも…食べたら大切な何かを失う気がする。


「嫌いじゃねえって!
名無しさんこそ、早く食わねえと俺が全部食っちまうぞ」


それはダメ!と口一杯にたこ焼きを頬張り、熱いと涙目になる名無しさんはとても可愛らしい。


「お前の方がたこ焼きみてえだ、丸くて」


「丸いって酷っ!
それ絶対女の子に言う台詞じゃないね!」


こいつみたいなたこ焼きだったらいくらでも食ってやるけどな、と心の中で呟く。

なんて、俺は変態オヤジみてぇな思考だな。


「お前は女の子だったのか!」


「なっ…!そうだとしたらゾンビマンはオトコノコと付き合ってるってことだよ!
つまり、ゾンビマンはホモ!男色の気があるんだ!」


うわっ、キモッ!と言ってる名無しさんの頬をつねり上げる。

そろそろたこ焼きから気を逸らせたk「ねぇ、たこ焼き無くなっちゃうよ?」


覚えてたんかい!

俺は思わず舌打ちしそうになるのをこらえた。


「俺は冷めたたこ焼きが好きなんだ」


「あっ、そうだったんだ!!」


違えよ。どこにいるか、そんなやつ。

そう思いながらも缶ビールに口をつけていると、耳を疑うような言葉が聞こえた。


「銀〇このたこ焼きは熱々が美味しいんだけどなぁ〜」


「あ?お前、今銀〇こっつった!?」


「言ったけど、何か?」


「進化の家のじゃねえのかよ!?」


進化の家?ナニソレ?そう言いながらまだあったかそうなたこ焼きに串を刺した名無しさんの腕を掴み、その串に刺さったたこ焼きを食べた。


「ああっ!私のたこ焼きちゃんがっ!」


「うめぇ!やっぱたこ焼きはあったかくねえと!」


「さっきは冷たいのが好きって言ってたのに!?」


「あれはただの気まぐれだ」


「たこ焼き嫌いなら私が全部食べちゃおうと思ってたのに〜!」


「だから言っただろ?嫌いなんじゃないってよ」


そう言って俺はもう一度飲み直すように名無しさんに乾杯を促した。




↓あとがき↓

ずっと書いてみたかったゾンビマン夢!

あのニヒルな感じカッコええ!

そして、進化の家を訪れた後のゾンビマンがたこ焼きがトラウマになっていることに期待。

てかこれ誰得?俺得です。

ゾンビマンが一番好きですね。

また思いついたら書こうと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました!
 

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