受け継がれるもの(main)

□終わりが始まり。
1ページ/1ページ


《ムウ様ぁぁぁぁぁぁ》

少年の叫びが山々に木霊する。

全てが、終わった。

私が、私の大切な幼なじみが、大好きな“あの人”の“死”によって・・・。

聖域では、女神アテナと彼女を守り通した聖闘士たちに心配をかけまいと気丈に振る舞っていた彼だが、この岩山に囲まれた地ジャミールに戻ってきた途端、その場に泣き崩れた。

それまで我慢していたものが一気に溢れ出す。

次から次へと、まるで涸れることを知らないかのように。

私は念動力を駆使し“あの人”が造ってくれた形見の“琴”を己の手元にテレポートする。













笑って。

一昔前のあなたのように。

この真っ青な空に煌々と輝く太陽のように。

あなたは、鎹とならなければならない。

あなたには、この時代を次世代の聖闘士たちへと繋いでゆく役目がある。

それは、あなたにしか、できないことだから。

だから私は、ずっと、あなたを支えていきましょう。

新たな時代を担う新たな黄金の羊の隣で。




私の奏でる琴の音で、あなたの傷付き疲れた心を癒やしたい。













ジャミールの地に、静かな琴の音が響き渡る。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ