ぶっく

□緑高
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まじでヤバいって。この状況真面目にヤバいっての。


「ね、ニーチャンよぉ、そっちが先にぶつかって来たんだしさぁ」
「きちんとごめんなさいはしなくちゃー」
「まじ、お金とか置いてってくれるだけで全然許すし?」
「ちょー!それ優しー!マジ優しすぎてつらー!」


どこが優しいだよ!お金で解決とか何処の悪徳金融だよ!!つか、先にぶつかって来た以前にお前等が道いっぱいに広がって歩いてたからだろ!まじ邪魔だって!気づいて!


「ほら、ニーチャン、お、さ、い、ふ」


なんだその言い方ぶっちゃけキモい。どーせだったら女の子に可愛らしく言ってもらった方がいいって!ってあれなんか違う。
取り敢えず逃げたくても後ろは生憎の壁だし、男3人に囲まれちゃってるし。もー、真面目に俺ってばヤバい。
いや、ここは真剣に考えて不利なのは俺で、しかも裏路地と言っても表から見えているだろうに通行人は助けてくれるわけもなく、運よく警察が通りかかる事もない。じゃあ、これをどうやって上手く切りぬけるかってなると、まあ自分でどうにかしなきゃいけないわけよ。
出来れば喧嘩とかしたくないんだよなぁ。ほら、もし不注意で手とか足怪我したら嫌だし、こっちは加害者だけど、今後部活で何かしらの不都合とか出たら嫌じゃん。俺、バスケ好きだし。
でも、このままだと泣き寝入りする事になるし、それはぜってーイヤ!って、事で、まあしゃーねぇかなぁ。

やるか、って、親指を四本の指の中へ握りこんで、拳を作って構えようとした時、まさかな声が聞こえた。


「そこで何をしているのだよ」
「あ?」
「なんだぁ?ニーチャン」


え。…オイオイオイオイ。まさか過ぎた。もう!場違い過ぎるよ真ちゃん!でもちょっとその登場の仕方かっちょえーよ!俺ちょっとだけきゅんっ、てしちゃった!!
誰も声をかけないだろうと思って諦めた時に声をかけてきたのはまさかの相棒で、でも部活では頼りになるけどぶっちゃけ喧嘩とかしないっしょ?って感じの真面目な真ちゃんには見かけてもスルーしてほしかった。だって、申し訳ねぇけど足手纏いになるに決まって、る…?


「うっあ…!」
「ッガ、」
「なにすっ、ぐああッ」


俺は目の前で起きてる“ソレ”に追いつけなくて、ただ見ているだけ。
きったねー悲鳴を上げてんのが俺に絡んできてた男達で、そんな男たちを締めてんのは頼りないと思ってた真ちゃん。
なげぇ脚を器用に振りまわして蹴り飛ばし、突っ込んできた男の顔へ容赦なく、テーピングを巻いていない方の手で殴りこむ。時には胸倉を掴んで頭突きをしたりとか。
え、ダレコレ俺の知ってる真ちゃんじゃない。
気づいた時には男達は地面に伏してた。


「…はぁー…しぶとく起きあがってきて手間取った…」
「……真ちゃん?」
「なんだ、高尾。不良なんぞに絡まれて…そのチャラさを少しは改めたらどうなのだよ」
「真ちゃん」
「だからなんなのだよ」
「真ちゃん真ちゃん!」
「煩い!」
「俺、ヤベ、すげぇ惚れたかもしんね」
「はあ?」


メガネをかけ直して俺を見る真ちゃんがかっこよく見える。何この真ちゃんかっこよすぎて俺、孕みそう…。真ちゃんの子供なら産んでもいいかも。


「真ちゃん、取り敢えず俺と結婚してください」
「断る」







(後から聞いた話では、昔からよく喧嘩に絡まれていて喧嘩が強くなったらしい。)(真ちゃんまじかっけー!惚れ直した!)

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