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「テツヤ?」


テツヤはキラキラしているくせに、よく見失う。
そして、たまにそのぞんざいを忘れる。いや、それだと少し語弊があるか。一緒に本を読んでいたり、テレビを見ていると、テツヤの存在を忘れてたまにミルクをやり忘れたりだとか、背中に凭れて来ているのを忘れて思い切り体重をかけて潰してしまったり。
(店主に聞いた話では、店主もミルクをやるのを忘れた事が多々あるらしい)
テツヤ自身も自己主張をしないので危なっかしい存在だな。


「何処に居るんだ?」


午前中だけ会議に出て帰ってきたら、テツヤが何処にもいなかった。
家のどこを探しても見当たらなく、ボクは焦る。セキュリティーのいい家だ。誰かが忍び込む事はないだろう。…まさか勝手にひとりで出て行ったのか?だとしたら、まだ一度も外に出していないテツヤが無事に帰って来られる保証がない。
外へとテツヤを探しに行こうと足を踏み出した時、視界の端でもぞりと動くものを見つけた。
見れば、ソファーの裏側でテツヤが猫のように丸くなって眠っていた。


「……吃驚させないでくれ…」


溜め息を吐き、脱力するように据わりこむとテツヤが目を覚まし、きょとんとした眼をこちらに向けてきた。






(全く、君は本当、影が薄いと言うか…兎に角勝手に居なくならないでくれよ)

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