腐った黒子と恋する黄瀬くん

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「黒子っち!あの、今日、放課後暇っスか?」
「…まあ、暇と言えば暇ですが」
「じゃあ、俺の買い物に付き合ってもらえないかな?」
「何を買うんですか?」
「俺も一冊ぐらい同人誌買ってみようかなって。あ、でも、あーいうのってどこで手に入るんスかね?」
「……」


最近、ボクの天使がどんどん腐海の森へと紛れ込んできている。
いえ、それはボクが悪いのだと言う事は自覚しています。ですが、自らどんどん突き進んでくるのはどうにかしたいですね。嗚呼、ボクの天使が汚れていく…。
一先ず、まあ、仲間が増える分には悪い気がしないので買い物には付き合いますが、彼をあそこに連れて行くには少々抵抗があると言うか…。まあ、難易度は下げてここに参りましたが。


「うおおおお…オタクグッツが沢山っスね!」
「アニメグッツと言ってください。何か不愉快です」


黄瀬君と連れてきた場所はボク等の味方、あにめいとさんです。黄瀬君は同人誌を買いたいと言っていたので、それ専用のお店へ連れて行くべきなんでしょうが、まだ初心者な彼には少々酷だと判断して、無難なここに連れてきました。
ここならあのひとごみはないですし、無難でしょうし。


「こ、ここに同人誌が売っているんスね…」
「まあ、同人誌も、売っていますよ。基本はアニメグッツが売っているんですがね。ほら、エレベーター乗りますよ」


きょろきょろする黄瀬君を引っ張ってさっさとエレベーターに乗り込んでボタンを押す。
しかし、彼は背が高い上にイケメンなので目立ちますね。先ほどから視線が痛いのなんの。
こんなイケメンがオタクだとかネタにしかならないですし、腐れたお嬢さんからしたら更に美味しくモグモグ、ですよね。前に赤司君と来た時にも視線が痛かった…。
まあ、オタクの皆さんって基本面食いですし、こんな天使が舞い降りたらガン見するのが普通ですよね。


「ほら、降りますよ」
「はいっス」
「君はどんな同人が買いたい等の目星は付いているんですか?」
「いや、特になんもないんだけど…」
「なら店のお勧めコーナーで無難に見るのがいいんじゃないですか?」


黄瀬君を連れて行ってあげれば、黄瀬君は自分の好みそうな絵の表紙の同人を持って裏の説明書きを読む。
因みに、黄瀬君の言う同人誌とはBL物の本の事を指しているようです。まあ、もっと言えば色々あるんですが、一々説明するのがぶっちゃけ面倒…ゲフン、何でもないです。(簡単に言えば、同人誌とは実費で作った本等の事を言うので覚えておきましょう)
なので、今黄瀬君が見ているのは商業誌のBL本です。あ、あの先生の新刊買ってないやつだ。買っておきますか。


「…ねえねえ、黒子っち黒子っち」
「なんですか」
「これって、ゾロとサンジっスよね?でも何となく絵が違う気がするし…」


いつの間に二次創作のコーナーに入って来たんですか君は。
黄瀬君が手に持っていたのはワンピースのゾロとサンジの同人誌で、ゾロがサンジの顎に指をかけている。


「……君には少々早い気がしますが、まあ、君は飲み込みが早いのでいいでしょう。これは黄瀬君が思っているキャラで間違いがないです。が、商業誌ではなく、これは二次創作のBL同人誌です」
「二次創作?」


ああ、本当、説明が面倒臭い。ggrksと言いたいのを飲み込んで、簡単に説明をする。もうここは省かせてもらいますね。これを読んでいる皆さんはよくわかりますよね?今更説明をするものあれだと思うので、カットです。
簡単に説明を終えた黄瀬君はまだ何か思うところがあるのか、少し唸ってから口を開いた。


「っていうか、作者には――」
「それ以降はタブーなので黄瀬君それ以上言ったらもう帰りますからね」


眉も耳も尻尾も垂らした黄瀬君は慌てて口を閉じて本を戻してくる。うん、いい子ですね。
その後暫く別行動をする事にした。これ以上彼と居ると色んな物が削られていくので。
ボクも自分も買い物もしたかったので、買い物をすませて出口へ行けば、黄瀬君がガチャガチャを回していた。同人誌を真剣な目で見つめる黄瀬君もシュールでしたが、これも中々シュールですね。
取り敢えずそろりと近づいて声をかければ肩をびくつかせてこちらを見る。


「け、気配消して来ないでよー!めちゃくちゃビビったじゃないっスかぁー!」
「すみません。君が余りにも真剣な顔して回していたので。なんのガチャガチャですか?」
「あ、これ?これ、なんか可愛かったんでやってるんスけど、中々俺の狙ってるのが出てこないんスよねぇ」


見れば、銀魂のガチャガチャを回していて、しゃがんでいる膝の上には沢山のカプセル。
カプセルのいくつか拝借してみれば、主要キャラは大抵揃っているみたいですね。他で揃ってないのはエリザベスと定春だけですかね…。では狙いは定春ですか。同族ということで何か魅かれるものが合ったんですかね。


「んー、出ないっスねぇ…このペンギンみたいな、アヒルみたいなのが可愛くて欲しいんスけど出ないんスよー」
「!」


なん、だと…?まさかのエリザベス…!ぶっちゃけガチャガチャ等では当たる率が高くて煙たがられるエリザベス…!しかもこれだけ回しておきながらも一度も出ていない方が奇跡に近いですよ!ある意味ラッキーなんですけどね!
黄瀬君、恐るべし…。


「黄瀬君、エリザベスでしたらボク、大量にあるんであげますよ」
「え!いいんスか?!」
「ええ。というか、他のも結構あるんで欲しければ上げます」
「わ!欲しいっス!なんかこの目が可愛くって!これ、ぎんたま、て漫画なんスよね?見てみようかなぁ」


何となく、黄瀬君の好みの方向性がわからないですね。ああ、エリザベスの中の人事情を知った時、黄瀬君はどんな反応をするんですかね。ちょっと気になります。
取り敢えず帰ったら黄瀬君に上げるエリザベスを詰め込む作業に入りますか。


「あ、そういえば、黄瀬君は結局何の同人を買ったんですか?」
「えっいや、あの、なっないしょっス!」


慌てた様子で馴染み深い青の袋を後ろに隠す黄瀬君は怪しい。もしや、結構ハードなものを買ったんでしょうか。それともまさかBLから逸れて男性ものを…?まあ、黄瀬君は健全男子ですし、それでもいいですけど浮気はよくないですね。
そうだ、お勧めのBLゲーム何かを押しつけよう。エリザベスと一緒に押しつけて、ギャルゲーにハマる前にはめてし前ってやつです。
因みに、ボクはギャルゲーも乙女ゲーもやらいです。もうBLゲーしかやらないですね。BLゲーでしたら大抵手を出しました。18禁はやってますん。と、お答えしておきます。


「では、黄瀬君。ボクはこっちなんで」
「また明日!」
「はい」






(着々と黄瀬君を腐海へと誘うと同時に、何故かボクも嵌められた感があるのは気のせいでしょうか)

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