腐った黒子と恋する黄瀬くん

□6
1ページ/1ページ

 



「何か最近きーちゃん元気ないね?」
「ああ、病だよ」
「病?!ねえ!なんの病なの?!赤司君!くわしく!」


赤司は鼻息荒く言う桃井にいい笑顔を向けると、桃井は女らしからぬ奇声を上げて踞りながら悶絶している。
そう、桃井も赤司達の同属であり、部活の仲間達を美味しく頂いている。
ここ最近黄瀬の調子が悪いと思い、赤司にそれを言えば赤司は笑みを浮かべるだけで別段気にしていないところを見ると、とても美味しい展開になっているらしいと判断した桃井は食い付いた。


「5日前に黄瀬が黒子に告白をした」
「っ、ふおおお!!きーちゃん!遂に!遂にですか!待っていました!えっ、えっ、それでテツくんは?テツくんはどうなの?!」
「まあ、見た通りだよ」
「ありゃー…やっぱ関心ないかぁ…」
「全く上手くいってくれなくて逆に美味しいよ」


くすりと笑む赤司は、相も変わらず何時も通りな黒子と、それを目で追う黄瀬を見た。こんなにもわかりやすいふたりなのに桃井は気付かなかったのかと呆れる。しかし言われれば気付いたのか、桃井はにやにやとしながらふたりを見た。
美味いものを独り占めするのもいいが、共有をしてより多くの美味しいネタを増やしたい。


「あーんっ、もどかしい!もどかしすぎるー!!」
「まあ、今だけだよ、片想い期間を眺められるのは」
「まあそーなんだけどねぇー」
「桃井は幸せEND主義だからね」
「うん!ま、きーちゃんならやると信じてるけどっ」


にへらと笑う桃井はデータを書きこんであるノートへひたすらハートを描きだした。
赤司と桃井のふたりで黒子と黄瀬を熱い視線を向けていると、黄瀬がいち早く気づきこちらを見て小首を傾げた。
それを見たふたりは可愛すぎると悶絶していれば、今度は黒子が冷たい目を向けてくる。


「君達なにしてるんですか…」
「いや、何でもないよ」
「そっ、そーだよぅ、なんでもないよー?」
「…君達だけで何か楽しんでいてズルいです…」


ぷくっと頬を膨らませて拗ねる黒子にふたりは膝を折って床を叩く。可愛い、可愛すぎるぞ黒子(てっちゃん)!さすが天使!鼻血出そう…!


「ああ、そうです、今日新しい小説の案を書いて持ってきたので見てもらえませんか?」
「わ!次は何を書くの?!」
「勿論赤黄です」
「…黒子、前回書いたばかりだろ?」
「いえ、前回は赤黄青でした」
「きーちゃん受け好きだねぇ」
「はい。天使は皆に愛されていてなんぼです」


ドヤ顔で言う黒子に、赤司と桃井は全力で同じ言葉を返したかった。黒子だって天使だから皆に愛されてなんぼだろ。
黒子はそんな事知ったこっちゃないとボールを持って青峰の所へ行こうとすると、黄瀬と目が合った。黄瀬は慌てた様子で意味もなく手を上下させるとボールで顔を隠した。三人が思う事は同じで「「「可愛い」」」だ。


「…黄瀬はあれで隠れているつもりなんだろうか…」
「ふっ、くくっ、きーちゃんは天然ぴゅあっ子さんなんだよぅ…あー、きゃわたんいきつら」
「本当に天使ですね。あのアホなところが好きです」








(天使は落ち込んでいても天使でした)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ