腐った黒子と恋する黄瀬くん

□4
1ページ/1ページ

 

俺が黒子っちに惚れたのは少し前で、男に惚れるなんてとか思ったけど、でも黒子っちに対する想いと他への想いが全く違くて、でも暫くの間は自分の胸の中に隠しておいたけど、黒子っちが他の人と仲良くしているところを見ていると凄く凄く胸が苦しくて、加えて最近、黒子っちと赤司っちが異様に仲が良くて、俺はぶっちゃけ焦った。前までは別にそんなことなかったじゃん…。



「黒子っち、すき、好き」
「……」


ホントは告白するつもり何てなかった。怖がらせたくないし、気持ち悪がらせたくないし、俺のせいで悩んで欲しくない。だから言わないつもりだったのに、ごめんね黒子っち。


「ねぇ、返事は急がないっス。けど、なんか言って…?」


俺が告白をしてから何も言ってくれない。それどころか、表情も変えずに俺を見つめてくる。
何考えてるんだろう。やっぱり男から告白なんて気持ち悪いスよね。俺だって多分、黒子っち以外の男から好きだとか言われたらあんまいい気はしない。黒子っちだって、男から好きなんて言われていい気しないよね。俺はきもちわるいんだ。


「黒子っち…俺、やっぱ…きもちわるい?…もし、俺が気持ち悪かったら、忘れて?それで、これからも友達でいて。ね?お願い。じゃないと、俺…」


黒子っちに嫌われるのだけは嫌だ。それだったら俺何かの気持ちは押し込めて、また友達に戻りたい。また、黒子っちと笑いあいたいよ。
大丈夫、すぐに黒子っちへの想いを曲げる事は出来ないけど、でも隠すことはできるから。俺、笑うの上手でしょ?


「…黄瀬君は、本当にボクの事が好きなんですか?」


ドキ、と胸が鳴った。黒子っちはやっぱり表情を変えないけど、逃げないで俺を見てくれる。ああ、やっぱ黒子っち好きだわ。
何でも、逃げないで親身になって聞いてくれる。笑ったりしないし、貶したりしない。黒子っちはいつだって真剣に受け止めてくれるんだ。
俺達が初めて会った時も、俺は黒子っちを目の敵にしてたのに、一度も教育係を放棄しなかったし、文句も言わなかった。
黒子っちは一度目を閉じて、ゆっくり開けると口を開いた。その言葉は俺の気持ちを抉った。


「それは、余り考え難いですが、尊敬とかそんな意味ではないんですか?」
「そんなんじゃない!俺、マジで黒子っちの事が好きで!ずっと前から好きで、でも、中々言えなくって、それで、でも」

 
でも、もう我慢できなくなったんスよ。だからお願い、気持ちだけでも受け取って。


「…ボクの事を本気で好きなんですね」
「愛してる」


好き、愛してるよ、黒子っち。
好き、てもう一度口にすれば照れ臭くなって笑って誤魔化しちゃう。いや、だって改めて愛してるなんて恥ずかしくねっスか?!顔から火でそうなんだけど!
今の俺、ダサい。絶対にダサい。だって決まらないし。カッコ悪いに決まってる。
ねぇ黒子っち、俺ね、こんなカッコ悪いとこ見せちゃうぐらい黒子っちが好きなんスよ。だから、願わくば黒子っちも俺を好きでいて。


「……」
「黒子、ち?」


また何も言わなくなった。口元に手を当てて何か考えてるみたい。ああ、そのうっすらと開いた、少しかさついた唇にキスしたい。…俺、変態くさい。


「黄瀬君」
「は、はい!」
「ボクを好きだと言ってくれるのは光栄です」


が、お断り致します。
何を言われたか、一瞬分からなかった。黒子っちが余りにも普通の顔で言うから、何を黒子っちが言ったのか分からなくて、大分間を開けてから、黒子っちに言われた言葉が頭の中で響いた。
俺、今、フラれたの?黒子っちに、俺の想いは伝わらなかった?黒子っちに、

鼻の奥がつん、と痛み、涙が込み上げてきたけど、不思議と目から溢れる事はなかった。ただ、黒子っちがどこか嬉々とした表情で去っていくのを見送っていた。
やっぱりまだ、俺は黒子っちにフラれたと自覚出来てないみたい。ただ、そこからどうやって家に帰ったのかは覚えてない。気が付いたらベッドの上で、窓から朝日がさしていた。







(君はいつも何を考えてるのかわからないけど、今の黒子っちはもっと何を考えてるかわかんないよ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ