腐った黒子と恋する黄瀬くん

□3
1ページ/1ページ

 



今、ボク、黒子テツヤは何故か凄く驚いていると同時に、凄く腑に落ちない事になっています。
目の前に居るのは同じチームメイトで、日々の美味しいネタにして頂いている黄瀬涼太君です。そして、そんな彼は顔を真っ赤にしながら真っ直ぐで純粋な眼でボクを見つめて来ています。見つめる相手を間違っているのではなかろうか…。
けど、彼の赤く色付いた頬に真剣な目は余りにも真っ直ぐで間違ってはいないのでしょう。間違いなく、その言葉はボクに言っているのでしょう。


「黒子っち、すき、好き」
「……」
「ねぇ、返事は急がないっス。けど、なんか言って…?」


不安げに眉を垂らして、軽く小首を傾げる黄瀬君が半端なく可愛い。可愛すぎて脳内RECなう。
やはりボクはこの可愛いワンコは受けに回したいですね。だって可愛いじゃないですか。この可愛いワンコを襲わずして何になる?!赤司君!青峰君でもいいです!ここに食べごろのワンコがいますよ!さあ!今です!
なんて、脳内でお祭りをしているけど、彼の愛はボクへ向かっているらしい。正直、困る。
ボクは他人の恋愛には大変興味も関心もあるし、更に男同士だと尚の事萌えます。けど、自分が誰かと恋をするだなんて、誰からか愛を受けるなんて、考えた事もなかった。
だから実際にこうして恋愛感情を向けられるとなると、どうすればいいのかわからなくなる。


「黒子っち…俺、やっぱ…きもちわるい?」


ゆらゆらと不安定な地盤の上に立っているかのように目が不安にゆらゆらと揺れて、ボクが何も言わない事によって涙を浮かべてくる。
ああ、可愛い。黄瀬君はよく泣きますが、こうして本当に悲しみに顔を歪めているところを見るのは初めてかもしれない。いつも脳内では色んな意味で泣いていますが。


「…もし、俺が気持ち悪かったら、忘れて?それで、これからも友達でいて。ね?お願い。じゃないと、俺…」


くっ、と寄せられた眉。黄瀬君は言葉を続けるのを止めて笑みを作る。
彼は何が合っても、いつも笑っていようとする。にこにこ笑っていい事も悪い事も全て済ませようとする。嘘泣きをすることはよくあるけど、やっぱりよく笑ってる。キラキラの王子様のような笑顔を辺りに振りまく。


「…黄瀬君は、本当にボクの事が好きなんですか?」
「好きっスよ。マジメにアンタの事が、好き」
「それは、余り考え難いですが、尊敬とかそんな意味ではないんですか?」
「そんなんじゃない!俺、マジで黒子っちの事が好きで!ずっと前から好きで、でも、中々言えなくって、それで、でも」
「…ボクの事を本気で好きなんですね」
「愛してる」


泣きそうな顔も、笑む顔も引っ込み、真剣にボクを見てくる。でも、やっぱり照れくさそうに笑い、好きだと言ってこられると、流石のボクもぐらつきますね…。これは反則だと思います。
この可哀想で可愛いワンコに思わず“YES”と言いそうになったのを留まり、息を飲み込むと、頭の中で赤髪の彼が出てきた。


「……」
「黒子、ち?」
「黄瀬君」
「は、はい!」
「ボクを好きだと言ってくれるのは光栄です。が、お断り致します」


頭の中で高笑う彼の姿を想像したら無償に赤黄を書きたくなりました。早速帰ったら脳内リプレイをして赤黄に変換しましょう。








(ボクは、悲しみと絶望に顔を歪めた黄瀬君の事なんて目に入っていなかった)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ