腐った黒子と恋する黄瀬くん

□2
1ページ/1ページ

 



赤司征十郎は知っている。黄瀬涼太が黒子テツヤの事を好きな事を。

赤司征十郎は思う。なぜふたりがさっさとくっつかないのかと。

赤司征十郎は考える。どうすれば黒子テツヤが黄黒フラグを建築してくれるのかと。

赤司征十郎は相談されている。黄瀬涼太に黒子テツヤの事を。


「それで…俺、ホントにどうしたらいいかわかんなくって…」


赤司は聞いている風を装いながらも内心はお祭り状態だった。
事は数分前の事だ。黄瀬が最近、部活に身が入っていなく、どこか上の空である事を注意しようと呼び出し、部活に身に入らない理由を尋ねたら好きな人がいる、とのこと。
黄瀬がぽつりぽつりとその好きな人の子を話し、その話をまとめあげると名前を出してはいないが黒子の事を言っているのは明らかで、赤司は口角が上がらないようにするので必死だ。
儚くて周りが気づかないから自分が気づいてあげなくちゃ、て思う、とか、もう影の薄いと自他共に認めている黒子の事を言っているに違いない。この犬は馬鹿正直だ。


「そうか。それで?」
「それで、て…」
「さっさとケリを付けてしまえばいいだろ」
「いやいや!出来ないんス!まじ!大切にしたいんで!!」


大切にしたい、だと。聞いたか?黄瀬は黒子の事が好きで好きで仕方がなくて、更に大切にしたいらしいぞ。
ニヤニヤと内なる自分が笑い、脳内に今起こっている事をメモしていく。次の新刊は厚く、熱くなりそうだ。
一人で盛り上がる赤司の前で正座をし、頭を垂らす黄瀬は見えない犬耳を垂らしており、もうしにたい、等とごちている。馬鹿を言うなと頭をはっ倒したくなるがそれを抑え、黄瀬の肩に手を置く。
死にたくなるほど黒子が好きなのかそうか。もう一層の事押し倒してしまえば全ての悩みが吹っ飛び俺は万々歳だ。さあそうしてしまえ。


「黄瀬、お前はソイツとどうなりたいんだ」
「どうって…そりゃ、付き合いたい、けど…無理なんスよ…その、えと…い、色々難関があって」
「(性別など難関にもならないな)じゃあ、諦めるのか?」
「ぅっ、あ、きらめ…」


諦めるのかと聞いた途端にお預けをくらったような切ない顔をした黄瀬に、赤司は床を叩いて悲鳴を上げたくなった。可愛すぎるだろ!黄瀬涼太!
しかし、そこは笑みを浮かべるだけにし、これ以上酷い顔になる前に赤司は黄瀬に背を向ける。


「まあ、そんな事で部活が身に入らないなんて理由にならない。何かしらの理由でさっさとケリをつけろ」
「え、」
「もしこのまま醜態を晒すようであれば降格させる」
「そ、それはヤ!ス!」


ヤ、だと?この犬はどこまで可愛いのだろうか。赤司はのた打ち回る自分の中の本能を必死に抑え込み、練習に戻れと黄瀬を追い出す。このままでは自分が黄瀬に醜態を晒してしまうからだ。
ひとりになれば漸く思う存分口角を上げる事が出来る。ニヤニヤと、下がる事の知らない口角に頬が若干痛いと思いながらも、脳内で先ほどの出来事をリプレイする。
黄黒を愛し続け、漸く自分の時代が来た。公式で黄瀬が黒子を好きだと、言った!まあ、名前は出していないにしろ、それは決定事項だ。
とてつもなく美味しすぎる。


「ふ、ふふ…早速帰ったら早速描きためておこう。取り敢えずブログで報告だな」







(早く付き合ってしまえばいいのにと思いつつも、このもだもだしたところもまた美味しいな)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ