しょーとどりーむ

□さみしいんだ。
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「いや、そんな遥香がいい。」






















「んぅ…」
視界がぼやける。
あんまり見ない天井が少しずつ鮮明になって。

「あ、ぱるるー、おーはよ」

聞こえる愛しい人の声。
そうだ。思い出した。
昨日は、陽波の家に泊まったんだ。
『ぱるるがいないと、さみしいんだよねー』
なんて言われたら、断れない。

「ご飯待ってね、もうすぐできるからー」

昨日の夜、『夜通し語るつもりだからね!』とか言われたけれど、先に寝たのは私じゃなくて、陽波だった。
ああ、まだぼーっとしてる。
なんだか、目も頭も冴えない。

「ねぇー。」
「んー?どしたー?」
「…なんで昨日先に寝ちゃったの?」
「えっ…?」

あれ?こんなこと聞くつもりはなかったのに。
やっぱりおかしいな、なんか。

「ごめん、なんでもな」
「ごめんね」
「…」
「私が誘ったのにね…先に寝ちゃってごめん。」
「…気にしないで…」

なんだか、もう、ほんとにおかしい。
陽波といれただけで嬉しいのに。
…あれ?
私、どうしちゃったんだろう?

「…ぱるる…?」
「…えっ?」
「…どうかした?」

聞かれてから考えた。
何を思っているんだろう。
自分でもわかんない。

「わかんない…」
「どういうこと?」
「自分でも何もわかんない。陽波に対することも、自分に対することも。」
「私に?…よければさ、どう思ってるか聞かせて?」

迷った。この気持ちを話して、どう思われるのだろうか。そのとき私はどう思うのだろうか。言うべきか否か。そして。

「ちょっとだけね。」

私の答えはそれだった。

「陽波のことは、良き仲間だと思ってるし、良き友達だと思ってる。でも、それ以上に、なにかもやもやした気持ちがある。良くわかんないけど、昨日から陽波と一緒にいて、なんだか、心の穴が埋まったみたいな、安堵感とかがあって。」

「…それってさ、私のこと…好きなんじゃないかな?」
「好…き…?」
「…うん。私は、ぱるるのことが好き。もちろん、仲間としてもだけど、恋愛対象としても。」

驚きの連続。
私が陽波のことが好きで、
陽波も私のことが好き。
つまり、両想い。

「…こんな、私でよければ…」

「うん、そんな、ぱるるがいい。いや、そんな遥香がいい。」

「ありがとう、よろしくね。」




離れて初めて気づく恋があるように、
一気に近づいて気づく恋もある。
相手から教えられる恋もあるんだ。
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