しょーとどりーむ
□証(あかし)
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佐江 side
あたりまえにあった温もり。
そういうのって、なくしてから初めて気づくもの。
そうやって不意に求め出す 陽波の温もり。
暖かくて、心地よくて、ないと心配になっちゃう。
寂しくて、心配で、怖すぎて、 陽波について行けばよかった。
でもそんな寂しさとか、心配だとか、怖さだとかを噛み締めて、押し殺して、勇気を作り出す。
どこかで 陽波が言っている気がするんだ。
前に進めって。
歩き出せよっ って。
だから、歩き出さないといけないから、そのための勇気も作る。
そんな勇気を抱いて、また、頭に浮かんでしまうのは、いつだって、 陽波なんだよ。
また、流してしまった、涙。
一回流すと、もう、気が済むまで収まらなくて。
見えた気がした 陽波を、涙が遮ってしまうのがいつものこと。
でも、今日こそは、今日こそは涙に遮られる前に、笑顔で言わなきゃ。
「また、いつか、何処かでね。」
いっつも、無茶ぶりだの、悪戯だのって、知らないところで傷つき傷つけていて、
でも、こんな仲だから許しあえた。
これは、代わりなき佐江たち2人の証だから。