long story parallel

□歌うたい
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今までこんなこと無かった。

みんなオレの体だったり心だったりを欲しがって思い通りにしようとして オレはそれになんとなく応えて。





だから自分から迫ってみたときもある。



ミノのズボンのベルトに手をかけようとしたオレをみて、なんの勘違いをしたのか

「ああ、溜まってるのか。」

とボソりというとオレをひっくり返して攻めに攻め立ててイかせられた。


でもミノの目にはまったく興奮の色は出ていなくて

オレだけイカされると何事もなかったかのように、ただ、メシにするぞ。と言われただけだった。




なんなんだこいつは。

なんのためにオレを拾ったんだ。

何を考えてるんだ?




こんな奴のところに腰を据えているオレも随分アホだとおもう。

でもふしぎと居心地が良かったのだ。




数ヶ月ミノと過ごしてきて少しずつ分かったことがある。



週に数回午後過ぎに仕事に出かけ、そんな時は明け方に帰ってくることが多い。

大抵酒の匂いと香水の匂いとタバコの匂いをつけて帰ってくる。

夜の仕事なのだろう。それは予想がついた。



でもほとんど家に居てパソコンをいじっているか、電話をしているか、スーツを着て迎えの車に乗ってどこかへ出かけるかだった。

どれも仕事のようだったけど、よくわからない。




好きなものはコーヒーと本。

嫌いなものはマヨネーズだ。




そして、明け方に帰ってきたとき、オレの寝顔を甘い顔で見つめるのも知っている。


普段はクールなのになんでオレの顔をそんなとびきり甘い顔で見るの?


そしてスルリと横に潜り込んできて後ろからオレを優しく抱きしめるとスースーと寝てしまうのだ。




何を考えてるのか 全くわからない。






それでもこのミノのそばが居心地良くて

否定や軽蔑や羨望をずっと受けてきたオレにとって新鮮でどこか暖かくて嬉しかった。





あれ、オレもしかしてミノに惹かれてる?






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