long story parallel

□さかな2
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「あぁ...頭いてぇ.....。」



太陽が眩しくなってきた、春も終わりだな。

なんて思いながらロードバイクをこぐ。

寝不足な体に梅雨前の爽やかな風が沁みる.....。


『せんぱい一気におっさんくさくなりません?』って昨日マネージャーに言われたっけ......。

『この前まで楽しそうでしたよね。』っていうのは聞こえないふりした。

別に俺はこのままで楽しい。

昨日だって楽しかったし、ゲーム。


寝たのは新聞が届く頃だったのに、すぐ目が覚めちゃったから光が沁みるんだ。


変な夢みたからかな〜

前も見てたっけ、溺れる夢。



そんなことを重い頭で考えながらいつの間にか大学へ着く。


サークル室へ入るなり
「昨日よりおっさんくささが増してますよ、せんぱい。」
と言う言葉の暴力を受けた。

......マネージャー......。

「ひどいよう。マネ。お前はサッカーサークルのマドンナじゃないのか?俺らを癒してはくれないのかー!」

「発言が気持ち悪い。」

マネは可愛い顔してきつい子です。



だれか癒しをくれ.....。

そうだ、ポチのとこいこう.....。

ネコのポチのとこ.....。


コンビニで買ったさかなソーセージを持って用具倉庫の裏に向かう。

運動サークルのみんなで内緒で飼っている真っ黒なネコで
決してベタベタと懐きはしないけど、少し離れたところで寝ながら話を聞いてくれるネコだ。


「ポチ。」

いたいた。さかなソーセージを献上しながら、口から勝手に言葉が出る。

「俺どうしたらいいんだろう。」

ハッと口を押さえる。え?なんでそんなこと俺はきくんだろう。

ポチはさかなソーセージに夢中で聞いてなかったけど。


食べ終えたポチは、すっと金色の目を細めて俺を見つめて一言「うにゃ。」と言うとさっと居なくなった。



バカなのねと言われてるみたいだった。


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