オハナシ 1
□monopolize
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無事に一日を終え、自室へと向かう途中庭の桜を見上げるとほぼ満開。
「わぁ、満開。」
「ホーント!キレイよね!明日あたりお花見しましょうよ!」
「ノリちゃん桜っぽいコーディネート考えてくれる?」
「もっちろん!」
ふたりで勝手に花見をしようと盛り上がっていると、そこに清盛さんがやってきた。
「あ、清盛さん。明日なんですけど…」
「ちよ、明日出かけるから予定空けとけよ。」
「えぇ〜っ!お花見したかったのに!でもまあ、デートなら仕方ないわね!」
「で…?まぁいい、とにかく朝から出かけるから寝過ごすなよ。」
そう言うだけ言うと清盛はさっさと戻っていってしまった。
「お花見したかったけど、何か外せない用件なんだよね。きっと。」
「そうね〜。まぁ一日くらいずれても大丈夫よ!明日はとにかくいってらっしゃい!」
ノリちゃんと別れ部屋へと戻り、簡単に明日の準備をして床についた。
******
翌朝。
どこに何をしに行くのかまったく分からなかったので、普段通りの格好で外へ出掛けると、そこにはもう清盛さんが馬を引いて待っていた。
「お待たせしました。」
「おう。じゃあ行くか。」
「あの、どこへ?」
「そういや言ってなかったな。釣りだ。」
「つ、釣りですか…」
「なんか文句あんのか?」
「いえ…」
まさか釣りだとは。
予想外の返答に絶句していると清盛さんに抱きあげられて馬へ乗せられてしまった。
しばらく馬に揺られて進んでいくと、不意に馬の歩みが止まった。
「え、ここって…」
清盛さんを見上げると、ニヤリと笑いながら馬を降りて適当なところに繋ぎちよを降ろした。
「釣りすんぞ。」
「清盛さん…」
そこは見上げれば満開の桜。
池のまわりは一面の桜と菜の花で埋め尽くされていた。
黄色と桜色に染まる水面がキラキラと輝いている。
桜とちよの髪を風が吹き抜ける。
乱れた髪を手で直しながらもう釣り糸を垂れている清盛さんの隣に座った。
「花見つったらあいつらみんな付いてくんだろ。」
「え?それで?」
「まー、釣りをしたかった、っつーのもあるがな。」
「たまには独り占めもいいだろ。」
「清盛さん。」
「あ?」
「ありがとう、ございます。」
「あ、でも釣りはちゃんとしろよ。」
「えぇ〜、お花見じゃダメですか?」
「ダメだろ。釣りって言ってきたんだからな。」
笑いあいながら桜を見上げる。
明日はみんなでお花見をしよう。
でも
今日は二人だけで。