オハナシ 1

□頬に触れるは
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今日は仕事は休み。
なので、もう少し家盛さんとのんびりしていたいところだけれど、
週末にしかできないことをまとめてやってしまわなくてはいけない。

「家盛さん、すみません。洗濯だけ終わらせてしまいますね。」

少し前に教えた掃除機にすっかりハマってしまっている家盛のおかげで掃除はすでに終わっている。

「手伝う。」

「いえ、とりあえず洗濯機は回してあるのであとは干すだけなんです。」

「洗濯も機械がやってくれるのか?」

「そうですよ。この中に洗濯物と洗剤と柔軟剤を入れると…」

「じゅ……?」

「柔軟剤、洗濯物を柔らかくしてくれるんです。」

「柔らかく?」

ちよにとっては当たり前のことでも、
いちいち家盛が不思議に感じるのは仕方がない。
苦笑しつつ、
洗濯済みのバスタオルを1枚出して家盛に手渡した。

「このタオルのフワフワが、柔軟剤のおかげなんですよ。」

バスタオルのフワフワ加減は初めて触った時から感動したものだったが、これが「柔軟剤 」なるもののお陰なのだということを家盛は初めて知った。

「お待たせしました。じゃあお買い物、行きましょうか。」

家盛がバスタオルを見つめているうちに、ちよは洗濯物を干し終えたようだった。

「ああ。今日は何を買いに行くんだ?」

「献立を考えながらお買い物も楽しいですよね。」

「そうだな。」

「その前に、お天気もいいですしお散歩しませんか。」

2人で他愛もない会話をしながら外へと出かけるこの時間がちよはとても好きだった。
時間はあっという間に過ぎてしまう。
きっと戻るのは夕方になるだろう。その頃には洗濯物も乾いているはず。




******


「ただいま。家盛さん、荷物ありがとうございます。」

「冷蔵庫に入れておけばいいんだな。」

「はい。お願いしますね。」

買物したものを家盛に任せ、ベランダの洗濯物を取り込むため窓を開ける。
風が吹き込み、部屋の空気が入れ替わってゆく。

「この香りは?花か?」

「あ!家盛さん!こっち来てください!」

干し終えたバスタオルをたたんで、ベランダに顔を出した家盛に手渡す。

「顔をね、」

「顔?」

「そう。顔をこう、バスタオルにモフモフ〜!って。してみてください!」

「モ…、顔を?」

家盛は言われるままにバスタオルに顔を埋めてみた。
すると、先程香ってきた花のような香りに包まれた。
顔に触れるバスタオルの感触はなんともいえない柔らかさで、
しばしバスタオルに顔を埋め続けた。


「モ、フモフ…」

「え?なんて?」

「いや、なんでもない。」

バスタオルに顔をうずめたままの家盛さんの耳が少し赤いような気がした。

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