オハナシ 2

□grow warmer
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「ん....」

ふと、目が覚めて重い瞼をうっすらと開けると、そこには愛しい人の寝顔があった。

「あ、そっか夕べあのまま....」

規則正しい寝息と閉じられた瞳が普段よりも少し幼く見えてひっそりと微笑む。
なんとなく、唇に触れたくて腕を動かそうとすると、逆にギュッと抱き締められてしまった。
身動きしたせいで布団の中にひんやりとした空気が流れ込んでくる。

「っくしゅ…」

急に素肌に触れた冷たい空気にくしゃみが出た。
昼間は暑いくらいだけれど、確実に季節は進んでいるようだ。

「寒いのか?」

「あ、起こしちゃいました?」

「んー。」

「夜明けまでまだありそうですよ。」

「そうか。」

腕枕になっていた腕が腰にまわり、足を絡めてくる。
触れる素肌が暖かい。

「あったかい、です。」

小さく呟くと彼は瞳を閉じたまま淡く微笑んだ。

「お前も、あったけーな。」

なんだか嬉しくなって、猫のように鼻をすり寄せるようにすると、
腰にまわされていた手が背中の曲線をなぞるようにして上がってきた。

「あ…」

僅かに身をよじり顔を見上げると
まだ少し眠そうな、でも悪戯を楽しむような瞳と目が合った。

「あの…」

「寒いんだろ?」

唇を食むように啄まれ、身体が熱を帯びてくる。

「すぐにもっとあったかくしてやるよ。」

「ん…」

熱い掌と唇に抵抗できるはずもなく、
そっと耳元で囁いた。

「清盛さんもあったかく、なってくださいね。」

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