8月15日

時間は・・・大体12時半過ぎた頃だ

猛暑

天気が良いとかのレベルじゃない

「ったく 暑いったらありゃしねぇよ」

俺はぶつくさ言いながら荷台にジャガイモをのせた軽トラを走らせた

ふとラジオで

夏が大好きな子供特集が・・・

はぁ

「でもまぁ夏は嫌いだなぁ」

昼飯代わりに社長がくれた蒸かし芋を囓る

「うまくねぇなぁ・・・」

正直言って不味い

顔をしかめながら芋を見る

軽トラを走らせ 丁度大きな交差点に通るかかった時だった

「!」

バッ

「うおおおおお」

いきなり女の子が飛び出した

ぶつかる!!

そう思いブレーキ を踏み込む



キィイイイイイドンッッッ

止まらなかった 

ぶつかった

と同時だった

「え・・・あれ?」

ふと 自分の体が軽い気がした

そして

「ぐっっっ」

物凄い力が俺を引っ張るようにシートに叩き付けられた

なにが・・何が起こったんだよ

ドォオオン

轟音と共にシートからずれる

ふと周りを見るとそこは

青 青青青青

「え」

ふと窓から顔を出すと

「う、嘘だろ・・おいおい」

空中だった

そして 俺の軽トラはビルに綺麗に突き刺さっていた

そう言えば 俺は・・

そうだ 少女に

バッ

下の交差点ではこちらを向いている少 女が

無傷の少女が目を見開きこちらを向いていた

そして

「ふっっ」

鼻で笑われた



「うわああああああ」

叫び声を上げ起き上がる

「どうかしました?」

クスクスクス

後輩の女性社員が俺の方を向き笑っていた

は、恥ずかしい

顔を赤くさせながら自分の席に着く

外を見る

暗いな・・・・・

「今何時だよ」

ふと時間が気になり時計を見る

「12時過ぎかよ・・・」

作業のめどは立っていた

「それじゃ、後の戸締まりお願いします」

「おーう 俺もそろそろ帰る」

後輩はバックを持ち帰って行った

ギュルルルル

お腹の音が

そう言 えば食べてないよな俺

ふと 素朴な・・いや美味しくない不味いじゃがいもの味を思い出した

そして 外を見たとき

「!」

交差点が見え 昨日見た夢を思い出した

あれ・・・日付・・・まぁ夢の中だからいいか

「もう 帰ろう」

席を立ち 会社の電気を消した

その時

パッッッッッドォオオオン

「な」

眩しい閃光と共に激しい爆発音が

そして

「おいおいおいおいおい」

窓の外で 折れて落下していく鉄柱が

何かに作用された用に軌道を変え こっちに

「うわあああああ」

パリイイイン

腹部に激痛が・・・

視界が歪み 煙幕の中で何かがあたった

「芋・・・」

それは芋で 辺りに当社の俺が明日運び芋が散乱していた

これも・・・夢・・だ・・ろ?

前を向くと

「!」

昨日夢で見た少女が

「あははは 夢じゃ・・・ないよ?」

楽しそうに 愉快そうに笑っている

くそったれ・・・

遠のいていく意識の中

俺は口の中にあの不味い芋の味と 金属のような味が広がっていく

「・・な・・ん・・だ・・こ・・れ・・」



何度世界が眩んでもいつも少女が笑って奪い去っていく

繰り返して何十年になるだろう

少女を本気で引こうとするならば その分の倍だけ空高く吹き飛ばされる

その通りを通らず違う道をとっても少女はいた

会社にこもれば鉄 柱が

いや

店の中や友人の家にいても いやになり家に引きこもっても鉄柱は飛んできた 

俺は気が付いた いや気が付いていた

こんな こんな良くある話なら

きっと結末は一つだけ

繰り返した夏の日(俺の死ぬ日)の向こうに

行く方法を



そして俺は車を走らせ

交差点を通りかかる

「さぁっっこいっっ」

と言いながらもアクセルを踏み込まずいつもの時速を保つ

そして

バッッと少女が飛び出す

その瞬間

「くらえええええ」

ビュゥン ゴシャッ

持っていた社長お手製の蒸かし芋(失敗作)を投げつける

車の速度もあり 威力は申し分なし!!

鈍い音と共に 少女の頭から赤と透明な液体が飛び散る

そして 

ぐらりとよろめき倒れた

よっしゃああ

「ざまぁみろってんだぁあははは」

笑いながらすれ違う瞬間

「あれ?」

その場に横たわっていたのは見知らぬ男性だった

そして

「」

直後だった 背後で声が聞こえる



「う・・ぅ〜ん」

モゾモゾ

少女はゆっくりと目を覚まし起き上がる

眠そうに目を擦りながら

「また駄目だったよぉ〜」

と言い ベッドの横の棚に置かれていたさつまいもを取り

カリッ

一口食べた



ジャガイモデイズ 完

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