東方死滅郷〜乱〜
□9000&10000hit記念クロス作品 猟奇:後編
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〜〜人里 地上〜〜
慧音「大和が……当たっただと?」
衣月「……どういうことなんだ?何もない所から彼がいきなり……」
大和のミラージュトリックが破られた場面を丁度下から目撃した二人は、それぞれの理由で驚いていた。
真っ逆さまに落ちていく大和。
慧音は顔面蒼白であった。
慧音「まずい……あいつが勝てなければ里が!大和!!」
衣月「?」
今から向かっても間に合わない、そもそもそこまで息合わせもしていない大和を援護など全く意味をなさないとわかっていても、慧音はそこに向かわずにはいられなかった。
どうしたのかと思い、衣月も後を追いかけた。
〜〜人里の外れ 大和の落下地点〜〜
葉「……っ…」
まりあ「気張った顔してるねえお嬢ちゃん♪ひっひっひ!」
大和を庇って抱きしめながらこちらを見てくる葉を見てまりあは笑う。
まりあ「そもそも、こんな結界じゃ私の攻撃を一撃も受けきれな……―――フラン「葉ぁ!!!!」
まりあ「!」
フランが葉の後ろから思い切り突っ込んできた。
体を包んだローブの顔辺りの隙間から、大きく見開いた真っ赤に光る瞳が力強く覗く。
レーヴァテインの杖を思い切り横に振りかぶる。
フラン「禁忌『レーヴァテイン』!!!!」
杖の先から真っ赤に光る巨大な刃がでてくる。
横払いに切りかかるフラン。
フラン「ぐあああああああああああ!!!!」
まりあ「へえ、かっこいい♪でも、威力はどうかなあ?」
ギィイイイイイイイン!!
まりあはその真っ赤に光る巨大な太刀を両手斧で止める。
フラン「葉!大和を今すぐ永遠邸に!!」
葉「はい!!」
葉は大和を背負って永遠邸に向かって飛んでいった。
両者の武器がカタカタと震える。
まりあ「君もなかなか、いい腕っ節をしてるねぇ♪」
フラン「くっ……?」
まりあ「でも残念だけど…力が強ければ押し返せるとか…そういう力じゃないんだよねぇ♪私の力はさ♪」
やはり力負けして押し返されるフランだが、一方で気になることがあった。
フラン(くぅ…確かに強い……でも…)
大和と何度も何度もぶつかり合って互いの癖を完全に理解しきったフランには引っかかった。
フラン(“この力に……大和は力負けしたの?”)
まりあ「この状況で考え事とは随分と余裕だねえ!!」
フラン「っ!!」
ガァアアアン!!
そのままフランは弾き飛ばされた。
空中でなんとか羽ばたきでブレーキをかける。
そうして足が止まったフランにまりあは容赦なく魔法銃を連射してきた。
フラン「…っ!」
避けられないと悟ったフランは腕をクロスさせて受け止める構えをとる。
バスンッ!バスンッ!
フラン「あうぅっ!!」
想像以上の痛みが走る。
皮膚を貫通する訳ではないが、吸血鬼にも有害なものが混じっているようだった。
…しかし、銀やニンニクといったピンポイントなものではなかった。
フラン(なんか…大和の攻撃みたい……)
まりあ「お!この攻撃はさっきの坊やには風穴を開けられるくらいの攻撃なのになぁ……お嬢ちゃんはなかなか身持ちが堅いねぇ♪どんな種族かは知らないけれど、さっきの彼より楽しめそうだ♪」
容赦ない連射を続けながら上機嫌にまりあはそう言う。
そして、まりあの次の台詞にフランは焦る。
まりあ「さて、それじゃあ威力を上げていこうかなぁ♪」
フラン(っ!?これ以上はっ!!)
咄嗟に思考を巡らせるフラン。
フラン「っ!!あの銃を!」
そこにたどり着いた瞬間、反射的にその銃の“目”を手に呼び寄せる。
呼び出した目を握った。
フラン「っ!!」
まりあ「おっと……」
フランは握った目をそのまま握りつぶした。