my small lover
□落下から始まる
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嬉しい。嬉しい嬉しい嬉しい!
逸る気持ちが足を動かし、始めは歩いていたはずの帰り道を、いつの間にか駆けていた。
ローファーの少しだけ高い踵も、彼女の気持ちを止める材料にはなり得なかった。
「まさか…まさかとれるなんて!!…ローのフィギュア!!」
先刻から一体何に興奮していたかというと、学校帰りに寄ったゲーセンでプレイしたユーフォーキャッチャーにてゲットした大好きな『トラファルガー・ロー』のフィギュアである。
普段、ユーフォーキャッチャーなんてからっきしなのだが、一生分の運を使い果たしたのか、なんと一発目で捕ることができた。
いつもゲームセンターでフィギュアを見つけても、3回トライしてダメだったらやめるようにしていた。
だめで元々、そう思って投入した百円玉が、この上ない喜びを連れてきたのだ。
早く帰って箱を開けたい―そう思って帰路を全力で駆けていた。
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