あくとれす!

□妖艶な黒
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ビックスローにお許しをもらい、一緒に妖精の尻尾のギルドへ向かうことになったエリー。

死人の口のギルドから市街に行く道中、エリーはビックスローとたくさん話をした。

というより、エリーがビックスローを質問攻めにしたという方が正しいだろうか。

「じゃあその人形が魔法なんですか?」

「人形自体は魔法じゃねェ。俺が魔法で、こいつら動かしてんのさ」

ノサー、サーと繰り返す、宙に漂う五体。見た目は可愛らしいが、さっきあのギルドで男達を一掃するのにこの子たちが飛び交っていたのかと思うと、なんとも不思議な気持ちだ。

「…やっぱ魔法ってすごいですねぇ…」

「何言ってんだヨ」

「いいえ、気にしないでください」

「おかしな奴…おら、街に着いたゼ」

荒れた山道のような道からだんだん整備された道になっていたのには気づいていたが、あっという間に街についた。おしゃべりに夢中で早く感じてしまったのだろう。

「大きな街ですねー」

きょろきょろと辺りを見回しながら、はぐれないようにビックスローのあとしっかりをついて行くエリーは、さながらヒナ鳥のようだ。

「俺は完遂の報告してくっから、その辺の店でも見てな」

そう言い残して、ビックスローは扉の中に消えた。

ひとまず休もうと、エリーはベンチに腰掛けた。

様々な店は人であふれ、たくさんの人が行き交う。

「短い時間の間に、ずいぶん色んな体験したなぁ…」

誘拐、拘束からビックスローと出会いこうして街にいる所まで、ぼんやり思い返していた。

「何たそがれちゃってんのよ」

耳障りのいいソプラノがエリーの耳に届くと、その口元を綻ばせて振り向いた。



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