あくとれす!
□目的地がやってきた
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「いや…やめて…」
恐怖が全身を包む。身体ががたがたと震えだした。
「お?さっきの威勢はどうした?」
溢れる涙が次々と目隠しの布に染み込んでいく。
「や、めて…やめて」
「その声、たまんないねぇ。さ、檻から出してやんよ」
キイ、無機質な高音と共に開かれた檻。
もうだめだ、そう思った刹那。
ドガァン。
派手な破壊音が鼓膜を揺らす。先程までのざわつきが止み、ギルド内に緊張が走る。
「モシモーシ。こちら、『死人の口』で合ってる?」
張り詰めた空気とは不釣り合いな、脳天気な声色だった。
「誰だテメー。うちのギルドに何の用だ」
「んー?オシゴト♪」
仕事、と言うこの人物は一体誰なんだろう。声から男なのはわかったが、何にせよありがたかった。
しごとー、と復唱する声は何だろう。複数人いるのだろうか。しかし人の声には感じられなかった。
「かっ頭!奴の舌…こいつ、『妖精の尻尾』の魔導師だ!」
フェアリーテイル、その名前は知っている。
色々と有名な正規の魔導師ギルド―。
「答えてやるよ、妖精の尻尾の魔導師。ここは…人攫いギルド『死人の口』だァ!!」
怒鳴り声と共に、ギルドの男たちの怒声と銃器や刀剣の音。男たちがその魔導師に襲いかかっているのだとわかった。
「よかったよかった、じゃあ遠慮なくいくゼー?」
「行きなァ、ベイビーたち!!」
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