あくとれす!
□幕開け
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雨が、降り出したようです。
小さい雫がしきりに屋根をたたく音が聞こえます。
ああ、コールさん、ママ、パパ。
エリーは今―
人間としての尊厳さえ、危ぶまれてます。
「楽な仕事だったなァ」
「全くだ。こんな小娘1人捕まえて引き渡すだけで大金が手に入るたあ、久々にイイ仕事だったぜ」
ぎゃはは、と男達の品性のかけらもない笑い声が雑音となって渦巻く。ここは人攫いギルド『死人の口』
ここにあたしは、縄で手首を拘束され、目隠しをされた上で檻に入れられている。床に置かれているのだろう、空気は冷たく男達の声は上から降ってくる。
人攫いのギルドでこんな状況なのだから、特殊なプレイとかそういうんじゃなくて、言うまでもなく売られる直前である。前者だったらどんなにいいか。
「しっかし依頼主は何考えてんだろうなァ、こんな女のどこがいいんだ?顔も身体も、どこにだっている様なやつじゃねーか」
「馬鹿、お前にゃ一生分かんねーよ。愛だよ、愛!!」
ぎゃはは、とまた下品な笑いが響く。
「ちょ…ちょっとあんた達!失礼なこと言ってんじゃないわよ!」
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