短編〜海賊

□つまり支えが必要なのです
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私は数学が苦手だ。

テスト中に真剣に泣きそうになるほどだ。(解けなすぎて)

だが、数学の授業は大好きだ。

絶対サボらない。

なぜなら―


「始めるぞ」

スラリと長身、目の隈がチャームポイントのこの数学教師トラファルガー・ローに、恋をしているからだ。

授業以外で交流のないロー先生との唯一の接点であるこの貴重な授業を、逃すはずがなかった。

ロー先生の授業は優しくなくて、むしろかなりスパルタなのだが、絶対的なわかりやすさを兼ねていた。

「辺DCの長さは何だ」

問題を順々に生徒にあてていくロー先生。答えられれば問題ないが、問題は答えられない時。

ロー先生のドSが本領発揮するのだ。

「カーター、角EDCの大きさは」

ほらきた。

ロー先生のドSタイム。

当然ながら、私には解らない。

答えられずに口ごもっていると、ロー先生の瞳の奥が妖しく光る。

方頬を薄ら釣り上げ、一瞬だけ至極楽しげな表情をうかべる。

みんなはテキストとにらめっこしているから、知らないだろうけど。

私だけが知っている。
(だから成績伸びないんだろうけど)

次の瞬間にはロー先生はいつもの無表情に戻って、角EDCを求めるための公式だとか、必要な辺の長さだとか、色んな簡単な質問を投げかけてくる。

それくらいなら答えられるから答えるし、それでも分からないのには詰まる。

するとまたさらに簡単な質問、そうしてどうにか私に角EDCを求めさせた。

丁度よくチャイムが鳴った。




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