短編〜海賊
□つまり支えが必要なのです
1ページ/3ページ
私は数学が苦手だ。
テスト中に真剣に泣きそうになるほどだ。(解けなすぎて)
だが、数学の授業は大好きだ。
絶対サボらない。
なぜなら―
「始めるぞ」
スラリと長身、目の隈がチャームポイントのこの数学教師トラファルガー・ローに、恋をしているからだ。
授業以外で交流のないロー先生との唯一の接点であるこの貴重な授業を、逃すはずがなかった。
ロー先生の授業は優しくなくて、むしろかなりスパルタなのだが、絶対的なわかりやすさを兼ねていた。
「辺DCの長さは何だ」
問題を順々に生徒にあてていくロー先生。答えられれば問題ないが、問題は答えられない時。
ロー先生のドSが本領発揮するのだ。
「カーター、角EDCの大きさは」
ほらきた。
ロー先生のドSタイム。
当然ながら、私には解らない。
答えられずに口ごもっていると、ロー先生の瞳の奥が妖しく光る。
方頬を薄ら釣り上げ、一瞬だけ至極楽しげな表情をうかべる。
みんなはテキストとにらめっこしているから、知らないだろうけど。
私だけが知っている。
(だから成績伸びないんだろうけど)
次の瞬間にはロー先生はいつもの無表情に戻って、角EDCを求めるための公式だとか、必要な辺の長さだとか、色んな簡単な質問を投げかけてくる。
それくらいなら答えられるから答えるし、それでも分からないのには詰まる。
するとまたさらに簡単な質問、そうしてどうにか私に角EDCを求めさせた。
丁度よくチャイムが鳴った。
.