あくとれす!

□妖艶な黒
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「ディナ!あんたどこ行ってたのよ」

屋根の上からエリーを見下ろしていたのは、全身を艶やかな黒い毛でつつんだ一匹の猫だった。光の当たり方で青や緑にも見える、綺麗な黒毛だった。

「ちょっとそこまで」

「あんたの『そこまで』の間に私大変だったんだから!」

しなやかな肢体をくねらせて、なめらかに屋根から飛び降りたディナと呼ばれた猫は、ゆったりとした動作でエリーの膝の上に登ると、四本の脚を折ってそこに丸くなった。エリーの右手は自然とその黒を撫でる。

「んー、やっぱりあんたの脚の上は居心地いいわね」

猫は目を閉じ、うっとりした表情になった。

「私もあんた撫でてると、やっぱ落ちつく」

慣れた手つきでディナの喉元をくすぐる。ディナはそのまま眠りについたようだった。傍から見たら、猫と少女の戯れる和やかな景色だ。

ひだまりの中で、やわらかいぬくもりを膝に乗せているエリーにも、当然睡魔が訪れ、あらがうことなく瞼を閉じた。

その景色を見つけて驚いたのは、報告を終えたビックスローだった。



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