難儀なことだ
□難儀なことだ5
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上級生の殆どと、下級生の一部が葵音に夢中らしく、四六時中葵音に侍っているらしい。
それで困るのは委員会だ。今では委員会が活動を休止したりと影響が出ているらしい。それで困るのは真面目に委員会活動をする下級生だ。
雅時は葵音に関しては我関せずの態度を取っていたため、知らなかった。話を聞いた雅時は険しい表情になった。
「…古来より女が男を惑わして引っ掻きまわす、というのはよくある話だが…。まさか、こうも簡単なものとはな。」
今日の放課後辺り、上級生が葵音に夢中になっている委員会に手伝いに行くか、と雅時は決めた。
そして、この短期間でここまで影響を与えた葵音を見てみたくなった。
「さて、食堂に行くか。」
雅時の発言に、仙蔵と文次郎が難色を示す。
「いや、今はやめた方がいい。天女様に会いに来た忍たまで混雑しているからな。」
仙蔵の制止に、雅時は考える様を見せたが、何かの結論に達したらしい雅時は目を細めた。
口許には笑みが浮かんでいる。が、いつものような穏やかなものではなく、典雅でありながら邪悪さが滲んだ笑みだ。雅時は恐らく癖となっているであろう蝙蝠扇を開き口許を隠すという動作で口許を隠した。
その様子を見て、仙蔵と文次郎が困ったように顔を見合わせた。