難儀なことだ

□難儀なことだ5
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都筑葵音が天女様と呼ばれているのを雅時が知ってから数日がたった。
最初は葵音を警戒していた者もいたが、今では警戒している方が少数派だ。
葵音を慕っている者の中には、贈り物を捧げる者までいるらしい。

午前の授業が終わった六年い組には、まだ授業が終わって間もないというのにほとんど人がいない。
大半の者は食堂にいるという葵音に会いに行ったみたいだ。
自席に座っていた雅時は教材を片付けると、ゆっくり立ち上がる。
教室を出ようとすると、名を呼ばれた。

「雅時。」

振り向くと仙蔵と文次郎がいた。
二人の姿を見て、雅時が僅に驚きを示す。

「なんだ、そなたらは天女様に会いに行かぬのか。」

雅時の問いに、二人揃って顔を歪めた。

「あんな女のところ、行くわけねぇだろ。」

「全く、あの女のどこがいいのやら。私には理解できない。」

二人揃って、凄い言いようだ。
雅時は苦笑し、肩をすくめる。

「たった数日ですごい言いようだな。如何なる理由からそのような言いようになるのか、知りたいものだ。」

そう言うと、相変わらず嫌そうな顔で話し始めた。
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