難儀なことだ
□難儀なことだ4
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伊作、仙蔵、文次郎、雅時の四人が学園長の部屋に行くと、学園長、ヘムヘム、件の女性がいた。
「遅い!何をしとったんじゃ、お前らは!」
怒鳴る学園長に、四人が頭を下げる。
四人を代表して雅時が謝罪する。
「は、誠に申し訳なく思うております。」
雅時は文次郎を一瞥し、笑みを浮かべた。
「痴話喧嘩の仲裁をしておりました。」
雅時の言葉に、仙蔵と伊作が吹き出し、文次郎が顔を引き吊らせて雅時を睨む。
そんな四人の様子に学園長は首を傾げたが、特に何も言うこともなく咳払いした。
「呼ばれた理由は分かっておるじゃろうな。」
その問いに、仙蔵が件の女性を指し示した。女性は不安げな表情を浮かべている。
「その女性が落ちてきた時の説明のために呼ばれたのでは?」
「うむ、その通りじゃ。説明せよ。」
「昨夜、私と雅時と文次郎が六年長屋の雅時の部屋の前にいた時、その女性が落ちてきたのです。」
あっさりした説明だが、そうとしか言いようがない。
「…他に何か、変わったことはかったのか?」
その問いには、いち早く女性が落下してくるのに気付いた雅時が答える。
「異変といえば、一瞬だけ空が光っただけです。」
「…ふむ…。文次郎、受け止めた時、異変は?」
「…特には。」
学園長が目を瞑った。女性の処遇について考えているのだろう。