放っておいてくれ

□放っておいてくれ4
1ページ/4ページ

雅斉が目を覚ますと、まず白い布と床が視界に映った。白い布は、どうやら布団らしい。うつ伏せで布団に寝かされていた。上半身には包帯が巻かれているらしく、少し苦しさがある。治療されているということに対し、少し驚いた。
雅斉はゆっくりと起き上がる。まだ体は痛い。
…あー、背中痛い。にしても、俺なんぞあのまま山に放置だと思ってたぞ。まともに治療してくれるとは思わなかったなー…。
ここはどこなのかを確認するために周囲を見渡す。
薬棚やこの独特の薬の臭いからして、ここは保健室だろう。
保健室に来たのは二年生の時以来だ。二年生の時、怪我をして保健室に行くと、当時の同学年の保健委員に、お前の治療なんか絶対しない二度と来るな、と言われたためだ。それ以降は怪我をしても全て自分で手当てしていた。そのため自室には、たくさんの薬と包帯がある。保健医の新野先生には何かと気にかけられているが、当時の保健委員の態度からして行こうとは今更思えない。何より、傷口に毒薬でも塗られたらたまったものではない。
ここも早々に去ろうと思い、布団を綺麗に畳んで自室に戻った。


幸い、自室までの道中は誰にも会わなかった。日の高さからして、まだ授業中なのだろう。
…なんだ、まだ授業中か。急いで参加しないと不味いよなー…。サボってるとか言いかねんからな、あいつらは。なんか、体が鈍ってるなー。何日寝てたんだ俺。腹へったぞー、ちくしょー。
自室は以前出たときのままだった。荒らされてたらどうしようと思っていたが、杞憂だったようだ。
安心して自室に入ると、実習の時に自分が着ていたらしい制服が置かれていた。しかも破れた箇所は縫ってあり、丁寧に洗濯までしてあった。
雅斉は制服を手に取り、首をかしげた。
…何で制服が洗濯されてて、しかも破れたとこ縫ってあるんだ?食堂のおばちゃんかな?いや、なんかの罠か?
雅斉は今自分が着ているものが見知らぬ寝間着だということに気がついた。
…あれ、この寝間着俺のじゃないぞ。保健室のかな?これで六年の保健委員に、恩着せがましくなんか言われたら嫌だなー…。
取り合えず、制服に着替えることにした。が、まだ背中は痛い。ちくしょー。


着替えると、取り合えず忍たまの友と筆記用具を持って六年い組の教室に向かう。そして、扉の前で深呼吸した。
…なんか久し振りで嫌だな。苦無とか投げられるかな?今、体が鈍ってるからなー。打ち落とせる自信はねぇな…。まぁ、先生いるだろうし大丈夫だろ。俺を座敷牢に入れたこと忘れてねぇんだからな。
扉に手を掛けた。そして、開けようとする。だが、扉の向こうに気配が感じられない。首をかしげた。
…あれ、何で?もしかして今、いない?
警戒しつつ扉を開く。
すると、誰もいなかった。どうやら、外で実技の実習のようだ。だが、どこで何をしているか分からない。
…困ったな。マジでサボってるとか言われるな、俺。めんどくせー。言うのは勝手だが、あいつらガキみたいな嫌がらせするからな。ちくしょー。
取り合えず、学園内を歩くことにした。誰か教師にでも会えれば、六年い組がどこで実習をしているかも聞けるはずだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ