放っておいてくれ

□放っておいてくれ25
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指定された場所に戻ると、見たことがない不思議な格好をした女とその周囲をはらはらと舞う紙。
彼女の足元には、彼女の物らしい荷物が置いてある。
滑稽なことに、女は周囲の先生方や生徒たちを気にせずにその紙を必死に掴もうとしている。

「いやぁぁぁ!これないと赤点確実なのにぃぃぃぃ!」

と時折叫びながら、だ。
…なにこの光景。
呆然とした俺たち。
俺の近くで彼女を見ていたケマは、顔をひきつらせて

「うわ、すごい親近感湧くな…。」

と呟いていた。多分、赤点、という部分に親近感が湧くのだろう。
さすが、は組だ。
という俺も教養の類いは赤点常連だから、彼女は発言には親近感が湧く。
それからしばらくして、彼女はすべて紙をつかみ終えたらしい。
すると、土井先生が苦無を構えて彼女に近付いた。
その苦無を見たらしい彼女は、目を見開いた。

「…銃刀法って知ってます?」

…ジュウトウホウってなにそれ。
彼女の意味不明発言に、土井先生は答えない。
先生は心底驚いたらしい表情で俺を見た。
それにつられてか、彼女も俺を見る。

「?」

首をかしげる俺。
すると、彼女はものすごい形相で俺に駆け寄ってきた。

「もしかしてドッペルゲンガー!?あたしまだ死にたくないんだけど!」

「はぁ!?」

なにこの女。てか、どっぺ…ってなに。
女は俺の周囲に居た奴等によって拘束される。
が、女の顔を見た瞬間に全員揃って目を見開いた。
俺も、同様に。
その女は俺と瓜二つで、俺が女だったらこんな顔になるんだと想像させる奴だった。
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