放っておいてくれ
□放っておいてくれ 番外編2
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美和に飛びつかれた雅斉はどうしよう、と悩んだ。
取りあえず、唖然としている善法寺に小声で話す。
「いいか、今すぐこの部屋から出ろ。美和は俺がなんとかする。急げ。」
「う、うん。」
善法寺はなんとか頷くと、出て行った。
それを確認し、涙目になっている美和を見る。
…なんでこんなことになってるの。
そう思った俺は、悪くないはず。
取りあえず美和を落ちつけなければならない。
「いや、別に許した訳じゃないぞ!俺、なんも覚えてないから奴らを恨む理由もないしな、面倒になったから今までのことは水に流そうぜ、的なことになってだな…!」
これで納得しろ、もう面倒だから。頼む!
「水に流すって…流すなら奴らを流せばいいじゃない!私、協力するわ!」
…納得どころじゃなかった。何物騒なこと言ってるのこいつ。
俺、こいつのどこ好きになったんだっけ。いや、好きなんだけどね。
どうしよう。
本格的にどうしようもない。
そう思ったその時、俺の部屋の戸が開いた。
気まずそうな顔をした利吉さんだった。
「えっと…お取込み中かな?」
そういって戸を閉めようとする彼。俺は必死に止めた。
「いやいやいや、全然大丈夫ですよ!用事をどうぞ!」
「…美和ちゃんと学園長先生の所に報告に行かないといけないんだけど…。」
…美和め、報告まだだったのか。
これは使える。
「美和、とりあえず報告行け!仕事は報告が終わるまで、だ!俺、そうやって仕事しっかりするお前が好きだぞ!」
これで納得しろ。もうどうしようもないぞ。
すると、美和は仕方ないと言わんばかりに俺から離れた。どうやら成功したらしい。
「…そこまで言うなら、行ってくるわ。早く帰ってくるからちゃんと待っていてね。約束よ!」
…俺、利吉さんに修行見てもらおうと思ってるのに。でも、ここで言うとこいつキレるのよなぁ。
取りあえず、頷いた。
「…おう。」
ふと利吉さんを見れば、苦笑いしている。
美和は早足で出て行った。廊下から、
「利吉さん、早く!」
と声がする。
「今いくよ!…それじゃあ雅斉君、またあとで。」
「はい。」
…俺、修行見てもらえるかな。