放っておいてくれ

□放っておいてくれ 番外編2
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心踊らせた私に、雅斉君の物ではない緑が視界に入った。緑は六年生の色。なんで雅斉君の部屋に彼以外の緑があるのかしら。
私の頭に血が上るのが分かった。
その緑の正体は、不運で有名な某委員会の委員長である善法寺。

「なんであなたがここにいるの?」

きっと、今の私の表情は無表情。殺気は出ていると思う。だって、善法寺君は顔をひきつらせて後ずさったもの。
でも、仕方ないじゃない。雅斉君を疎んでいる彼らが、なんでここに。雅斉君を害そうとしているのなら、私が何があっても止めなければ。
雅斉君はとっても優しいわ。だから、何をされても報復はしない。でも、それじゃあ彼らが調子に乗ってしまう。雅斉君ができないなら、私がやるまで。
雅斉君を害するのは、何があっても許さない。
惜しいけれど、仕方なく雅斉君から体を離す。善法寺を排除した後で、たくさん引っ付けばいいもの。
そうそうに排除するべく、善法寺を見据える。

「聞こえなかったのかしら。耳が悪いのね。なんであなたは、ここにいるの?」

「えっと…。雅斉が分からないところ教えてくれるって…。」

…彼は冗談が好きなのね。そんなの、ありえないことだって分かるわ。私も冗談は好き。でも、雅斉君絡みで冗談なんて許さない。

「…冗談なら時と場合を考えることね。雅斉君を害するのは許さない。」

善法寺を見据える私の視界に、雅斉君が飛び込んできた。善法寺を庇うように。

「いやいやいやいや、落ち着け美和!お前がいない間に深い事情があってだな!」

顔を引きつらせる雅斉君。
ああ、そんな表情も大好き!
でも、なんで善法寺なんかを庇うのかしら。彼は雅斉君の敵なのに!
でも、雅斉君が言うならきっと深い事情があるはず。浅慮が原因で嫌われたくないもの。

「…事情?」

「おう!実はな、なんか色々面倒になって六年生たちと和解したんだ。それで納得しろ、マジで。」

…和解?あれだけのことをされておいて、簡単に許したというの?
思わず私は雅斉君に飛びついた。

「なんで?なんでこんな短期間で許しちゃうの!?あれだけのことをされたのに!雅斉君が六年生共に何もできないなら、私が何でもするわ!だから、妥協なんてしないで!」
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