放っておいてくれ

□放っておいてくれ 番外編2
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忍術学園に入ると、すぐさま雅斉君がいるにんたまの六年生長屋に忍び込む。
公然と会いに行けないのは寂しいけれど、それはそれで心踊るものがある。
雅斉君の部屋の天井裏まで到達すると、私は部屋に降りた。
雅斉君はどんな風に私を迎えてくれるのかしら!

「雅斉君!」

名を呼びつつ飛び降りれば、教本を片手に雅斉は心底驚いたような表情で私を見る。
ああ、その驚いた顔も大好きよ!

「…美和?あれ、お前いつ帰ってきたの?」

「今よ、今。雅斉君に会いたくて、帰ってすぐ来たの!」

思わず雅斉君に飛び付いた。すると、雅斉君は私をちゃんと抱き止めてくれる。
ああ、なんて幸せなのなかしら!

「…お前な。危ないから急に飛び付くな、ほんとに。」

呆れを含んだ声。それでも、彼は私を好いてくれている。
本当に関心がない人間には、雅斉君はなんの反応も示さないのだから。
それを分からせてくれたのは、あの愚かな、にんたまの六年生達。
彼らは雅斉君を疎んでいる。こんなに素敵な人なのに。あげくの果てに、下らない嫌がらせまで!
私の愛しい雅斉君が不当に疎まれて嫌がらせされるなんて、私は許せなかった。
でもある日、怒りを露にする私に雅斉君は

「俺にとって奴らは警戒の対象だからな、それ以外の関心はないぞ。俺は、時生とか桐蔵とかお前とか、俺を気にしてくれる人にしか関心がないんだよ。」

と言っていた。
六年生を殺してもいいと思っていた私としては拍子抜けしたけど、その優しいところも私は大好き。その優しさが私に向けられたものじゃないのは不満だけど。でも、雅斉君は私にだって優しいわ。
そして何より、六年生達と関わらない分、時間ができる。だから、私は雅斉君とたくさん一緒にいることができる。
雅斉君のいいところを再認識させてくれて、一緒にいる時間まで与えてくれた彼らには、実はほんの少し感謝している。
それでも、彼らのことは嫌いだけど。
これから雅斉君と何をしようかしら。
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