放っておいてくれ

□放っておいてくれ 番外編2
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ああ、どうしましょう!
顔が緩むのが止められない私。だって仕方ないじゃない、もうすぐ雅斉君に会えるんだもの!

「うふふふふ…。」

あら、思わず声まで漏らしちゃったわ。
ちょっとまずかったかしらぁ、と思って、隣を歩く利吉さんを見る。
案の定、彼は私を見て引いている。それはもう、見事に。

「…美和ちゃん、雅斉君に会えるのが嬉しいんだろうけど…。その、ちょっと怪しいよ。」

…怪しいなんて酷いわ。少し苛立つ私。

「怪しいって何よ。恋する乙女の心をそんな安価な言葉に置き換えないで欲しいわ。ああ、雅斉君は今、何をしてるのかしら!」

「うわぁ…。」

利吉さんは、最早何も言うまい、という表情で私から顔をそらした。
本当に失礼な方よね。
ああ、駄目だわ。イライラしていたらそれが顔に出てしまうもの。そんな顔で雅斉君にあったら、嫌われちゃうわ。
なんとか笑顔を作る。雅斉のことを思えば、それは私にとって造作もないこと。
そしてしばらく歩き続けると、忍術学園が見えてきた。
やっと、やっと会える。

「利吉さん、私、先に行くわ!」

我慢できずに駆け出した。
そんな私を、利吉さんは苦笑いで見送った。
でも私にはどうでもいいこと。雅斉君さえ私を好いてくれるなら、他はどうでもいいのだから!
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