放っておいてくれ
□放っておいてくれ22
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俺の声に、六年生を中心とする上級生が意識を集中させるのが分かった。
今なら聞いてもらえる。
…何て言えばいいかな、俺。
「…俺、思うんだけどさ、ここらで水に流してもいいと思うんだ。俺絡みの事は、お前らと関わることを早々に放棄した俺も悪かった。勿論、間違ったのを認められなくて散々やらかしたお前らも。結局皆悪かったんだしさ、忘れて新しく始めるんだ。それでよくね?…幸い、俺はお前らに何されたかなんて覚えてないしな。てか、殆ど記憶にないんだ。」
こんな感じか?謝罪なら散々してきたが、仲直り的なことを言うのははじめてのことだ。
誰かが息をのんだ。
「…僕たちにとっては、それは嬉しいことだよ。でも、君は本当にそれでいいの?」
…声的に、多分善法寺だな、こいつ。
それでいいもなにも、殆ど覚えてないんだよちくしょー。
人の話は真面目に聞け。何となくイラッとした俺である。
「…いやだから、覚えてねぇんだよ、本当に。」
「…私達は、殴られる覚悟くらいはあるぞ。」
…次は立花だな。
なんなのお前ら。何で俺がお前らを殴らないといけないんだよちくしょー。
「いや、俺別にお前ら殴りたいとは思ってないぞ。てか、今までのこと全部水に流せ。あと俺なんかこの空気嫌だ。」
…そう、今の空気はカビが生えそうなじっめじめの空気なのだ。
てか、こいつら女か。女々しいし、しつこい。立花が女でも納得はいくが。
「…しかし、」
…声張れよ!な奴(←長次)がボソッと言いやがった。こいつに至っては、聞き取れない。
「いやもうそこまで罪悪感があるなら一生俺に負い目感じて接してろ。」
そろそろ面倒になってきた俺である。
もうこいつらいい加減にしろ、マジで。
やけくそになってきた俺。そんな俺を、衝撃が襲った。
「ぐはっ!」
なにかが俺に飛び付いてきたのだ。俺のしたにいる奴は大丈夫じゃないかもしれない。まぁ、取り合えずそれはいい。
飛び付いてきたのは、七松だった。
「お前な、いきなり飛び付いてくるな!」
ちなみに、七松は俺の胸辺りに顔を埋めている。
重い!
「雅斉がそれでいいなら、そうしよう!よろしくな!」
満面の笑みで言われた。うわ、すっげぇいい奴だな、こいつ。俺が期待していたのはこのノリだ。
断じてカビ生やしそうな空気ではない。
なんか、心が暖かくなった。