放っておいてくれ

□放っておいてくれ25
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なんか啜り泣いている竹谷。
そして酒片手にひきつった顔の俺。
なんというか、恐ろしい温度差である。
いやね、だって仕方ないじゃないか。竹谷とか他の奴も、俺が覚えてないことばっかり話すんだよ。もうこの感覚はなれてきた節がある。
慣れって怖い。
多分、こいつはもう忘れろと言っても忘れないと思う。
なにか自分を納得させられるような制裁が欲しいのだと思う。
なんて面倒な。
だから俺は嘘をつくことにした。

「竹谷。」

「…はい。」

悲壮感に満ちた表情。
俺は奴の目を見た。

「忘れろとは言わない。俺だって水に流せって言っても、お前らのことをただで許せるわけがない。」

…いや、許すもなにも覚えてないんだけどね。多少の嘘は仕方ないと思うんだ。

「…はい。」

より悲壮感を増した竹谷。なんかこわい。

「だから一発殴らせろ。俺もそれで我慢するし、お前もそれで罪悪感やら後悔を全部捨てろ。力一杯殴るからな。これが俺の報復だ。」

報復とか面倒だが、今の状況の方がよっぽど面倒だ。
だから、嘘をついたのだ。
殴るとか嫌だが。
一方、竹谷は目を見開いた。

「は…?そんなことでいいんですか?俺は別に、もっと酷いことされる覚悟はあります!」

…うわ、めんどくせー。

「いや、めんどく…じゃない。本当に力一杯殴るからな。覚悟しろ。さぁ立て!」

竹谷がゆっくり立ち上がった。
よし、あとは殴るだけだ。これで奴が望む制裁なんてのを与えてやれる。
酒を横に置き、拳を作る。

「いいか、歯、食いしばれよ。」

竹谷は頷いた。
恐らく奴の準備もできたであろうと考え、歯が折れない程度に竹谷を殴った。
思いっきり倒れる竹谷。てか、俺も手ぇ痛い…。
あと、前から思ってたんだが、竹谷ってぽん太っていう感じしねぇ?
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