放っておいてくれ

□放っておいてくれ22
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穴を埋め終わった頃には、もう夜も遅かった。
…なんでこうなった。
俺の部屋の前の廊下には、泥だらけで疲れきった様子の奴らがたくさん折り重なるようにして倒れている。
不運で有名な某委員会など、すごい有り様だ。
俺は仰向けに倒れているし、俺の足にはなんか死にそうになっているケマが乗っかっている。ちなみに、俺は誰ぞの背中に頭が乗っている。
もう勝手にしてくれな状態である。
決して死体ごっこの最中ではない。
もちろん、若干の例外はいるが。

「…すっげえ疲れたぞ、おい。」

ボソッと呟いた俺。
すると、同じく死にそうになっている時生が答えた。

「本当だな…俺、学園出て以来だわ、ここまでの重労働。」

…ちなみに、こいつが一番死にそうだったりする。まぁ、当然と言えば当然だ。
もう一度息をつくと、目を閉じた。
こんな大人数で何かをするのは久しぶりだ。何かをすることも、達成して皆で達成感を味わうことも、何もかも。
そして後輩たちと何かをするのも、本当に久しぶりのことだ。奴らと関わらなくなったのは、俺が奴らとの関わりを放棄したのはいつだっただろう。全く思い出せない。
そしてこの光景は、本来なら俺は遠目から見ているはずのものだ。
それなのに、何故かこの中にいる。どこか懐かしくて、不思議な感覚だ。
もういいかな、なんて思った。
六年生達といがみ合うのも、警戒するのも、後輩達と関わらないようにするのも、もう疲れた。
今日、本当にそう思った。
一年生の頃の俺は、早々に関わりを放棄して逃げた。逃げるのは悪いことじゃない。でも、俺は逃げたら駄目なところで逃げた。
俺が絡む騒動も、結局は俺も悪かった。俺に嫌がらせをした奴らも、原因を作った時生達も、皆悪かったのだ。ここらで水に流してもいい気がする。何より、面倒だ。
だから、今こそちゃんと伝えようと思う。俺の想いが、ちゃんと伝わるように。今度こそ、逃げないように。

「なぁ、そのままで聞いてくれ。」
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