放っておいてくれ

□放っておいてくれ21
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結局、どうすることもできない俺。
オロオロしているうちに眠くなっきた。だって仕方ないじゃないか。
膝には癒しの塊の鶴町、後ろにはなんでか分からないけど綾部が引っ付いている。温くなると眠くなる生き物なのだ。俺だけじゃないはずだぞ。
睡魔には勝てないなー、なんて思う俺。
その直後、頭がぼやけた。


雅斉の背中に引っ付いていた綾部は、雅斉の背中がだんだん丸まってきたことに気付いた。

「月波せんぱーい。」

声をかけてみる。が、反応はない。
すると、伏木蔵が体を捻って自分を見る。どこか困ったような表情で。

「あのぉ、月波先輩、寝ちゃてます…。」

「…この空気で寝るなんて、空気読めてない先輩だねぇ。」

このしんみりした空気でよく寝れるものだ、と綾部は感心する。
が、そのしんみりした空気は綾部の発言でぶっ飛んだ。
五年生以外が、お前が言うのかそれを、という目で彼を見ている。
五年生は綾部に構っている暇はないらしい。
雅斉が寝てしまった以上、自分がここにいても面白いことはない。
さて、どうしようか。
そういえば、雅斉のことで自分が尊敬する仙蔵が悩んでいるのを思い出した。
穴も掘りたいし、ちょうどいい。
綾部は独自の考えを持ち、食堂を出ようと立ち上がった。

「喜八郎、どこ行くんだ?」

声をかけられたので振り替えれば、まだ少し涙目な滝夜叉丸。
そんな彼に、平然と言う。

「悩んでる立花先輩を見るのは、なんか嫌なんだよねー。」

「は?」

返答が全く答えになっていない。
聞き返す間もなく、綾部は出ていった。
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