放っておいてくれ

□放っておいてくれ 番外編
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アンケートで頂いたコメントを見て、ふと閃いたので書いた感じのものです。
『放っておいてくれ』のもしも…なお話です。

設定↓
雅斉は孤児で雑渡さんに育てられた。義理の親子的な感じ。
もう皆との関係修復はちゃんとできてる。

こんな設定ですが、よろしければどうぞ。




ある休日、俺は運悪く教師の手伝いをすることになってしまった。ちょっと授業で寝てただけじゃないかちくしょー。
ちょっとのうたた寝くらい、許してくれてもいいと思うんだ、俺としては。
でも教師には逆らえなかったから、ちゃんと手伝いに行った。なんて偉いんだ俺。あとは今手に持っている包帯を保健室に運べば、それで終わり。なんて頑張ったんだ俺。
部屋に帰ってふて寝してやるちくしょー。
そんなことを考えながら保健室の前に着いた。

「すいませーん、誰か居ますかー?」

…返答はない。物音はする。
無視かこのやろー。
俺は早く帰って寝たいのだ。
だから、扉を開けた。
すると、視界に入ったのは当然保健室の内部。そして、休日だというのに全員揃っている保健委員。
そこまではいい。
保健委員の他にいたのは、怪我をした忍たまではない。茶色の見覚えありまくりな忍服の男が四人。
そして、俺の眼前にいるのはそのなかで最も体格のいい、包帯のお陰で右目しか見えない大男だった。

「うぎゃぁぁぁぁあ!」

叫んでしまった。が、そんな俺は悪くないはずだ。いきなり忍服を着たミイラ男を見たら誰だって叫ぶだろ。俺だけじゃないぞ、断じて。
ひきつった表情の善法寺が、ミイラ男を怒鳴っている。

「だから隠れてくださいって言ったじゃないですか!…あのね、雅斉、雑渡さんは学園長の命を狙ってきたとかじゃないからね!?遊びにいらしただけだからね!?」

「ちょっと月波先輩!早く戸を閉めてください!」

…川西に怒鳴られた。なんか理不尽。
取り合えず中に入り、ミイラ男を見る。

「やぁ、久しぶりだね。」

やぁ、と片手をあげるミイラ男。
なんでそんな呑気なのあんた。
ミイラ男の態度に、保健委員は揃って首をかしげる。

「あれ、粉もんさん、知り合いですかぁ?」

「うん、そうだよ。」

和やかな雰囲気。何故かミイラ男と茶色い忍服の男達は、保健委員に馴染んでいる。
俺は思わず怒鳴った。

「なんで親父がここにいるの!?意味わからん!」

そんな俺は悪くないはずだ。
そう、このミイラ男、つまりタソガレドキ城忍組頭である雑渡昆奈門は、俺の義理の父親的な存在だったりする。
俺の同様をよそに、親父は苦笑いしている。…多分。

「あれ、久しぶりにあったのに酷いなぁ。」

「こんな会い方したらしたらこうなるわ!」

「酷いなぁ。昔は私が仕事から帰ってきたら、すっごい笑顔で抱きついてきてくれたのに。」

…この親父、俺がいくつのときの話をしてやがる。

「ねぇ、伊作君、私の息子が冷たいんだけど、これって反抗期?」

…ポク、ポク、チーン。
なんとも言えない沈黙があった。その後、善法寺が叫ぶ。まぁ、当然だ。

「えぇぇぇ!?雑渡さんて雅斉の息子なんですか!?」

…んな訳あるかっ!逆だ、逆!
…どうやら、善法寺はむちゃくちゃ動揺しているらしい。
それを数馬が控えめに訂正する。

「伊作先輩、逆ですよ、どう考えても。」

「え、あ、ああ。それで雅斉、雑渡さんの息子なの?」

「…おう。義理だけどな。」

頷いた。が、なんか親父の息子だと認めたくない気がしてきた。
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