海の上の日常。

□恋心。すれ違い編
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うー
もーわたしのばか…!!





「お前な…。何なんだいきなり。」

「はぁはぁ…あ…ゾ、ゾロごめんね?」



だってね、いきなりサンジくんが出てくるから!
心の準備がね?!
だってさ…
だってさ!一昨日の事思い出しちゃったんだもん…
今軽く頭の中がパニック状態なんです。


サンジくんを前に、わたしは咄嗟にゾロを連れて走り、気づけばアクアリウムバーまできてしまっていた。

何してるんだろ…中学生じゃあるまいし!
自分でもびっくりなんです…。



ゾロはドカリとソファーに座ると、膝に片肘をついてわたしを眺めてくる。

「へぇ〜…。」

「え?なに?」

ゾロはにやりと片方の口角だけをあげた。

「※※※、お前って本当に分かりやすいのな。」

「分かりやすい??って?」

「……。」

「ゾロ?」

「…おめぇよぉ、あいつの事好きなんだろ?」

「…へ」

「とぼけんなよ。あのアホコックの事だ。」

「な!何でわかるの?」

図星か。
ああ、全く。
こいつは嘘がつけねぇのか?


「ふん、まぁ俺とは意見があわねぇみてぇだな。つーかさっきのは不味いんじゃねぇか?」

「う…うん、つい逃げちゃった。」

いや、それもだが俺に抱き寄せられてた事だよ。…ま、俺はラブコックの気持ちなんざ、どうでもいいがな。



「わたし、サンジくんの事好きだからね、少しでも傍にいたいんだよ?でも、まだこの気持ちに戸惑ってるっていうか…ほんと、ほんとに気づいたばっかりで。制御出来てないっていうか…」


整理出来てないだけなんだと、頭に手を当てて、髪をクシャクシャしながら言う※※※。
顔、赤いっつーの。

「でも好き…!」


「ふーん、はっきり言うじゃねぇの。でもな、俺にんな事言ってる間に誤解解きにでも行った方がいいぜ。クソコックに関して興味はねぇがな。…もしお前が本気ならそうしろ。」

「!ほんき。…です!」

そうだよね、いきなり逃げるなんて傷つけちゃったかもしれないし。嫌われちゃったら絶対やだし!

「俺もお前の事は結構気に入ってんだけどな。」

「へへー、ありがと!」

「…あいつが相手っつーのが不服だぜ。」
(こいつ…こういうとこは鈍いのな。)

「?」

また首傾げてへらへらしてやがる。全く。調子狂う女だ。

「…さっさとコックんとこ行ってこい。」

「うん。」

あー…
ますますあのラブコックの事は嫌いになりそうだな。




*・゜゚・*:.。.*・゜゚・*



よーし、サンジくん!

とりあえず、さっきすぐ走ってっちゃった事謝ろう。
何か、ロビンに話してゾロに話して。
より気持ちが強くなっちゃった。気がする。恋しくて堪らないよ。

サンジくんまだ外にいるかな?


わたしは深呼吸しながら芝生の甲板へと向かった。


____ _

あ、サンジくん!まだいた。



「あ。」

ナミと一緒だ。




『好きなんでしょ?』


「……?」

え?



何話してるんだろ…。



何となく、入っちゃいけない雰囲気を感じて、わたしは咄嗟に物陰に隠れた。

次の瞬間、わたしはナミがサンジくんの肩に手を掛けたのを見た。



!!!!!




え…




え?

キス?

キス…してる?



まさか、、、
ち、違うよね?
…………



メインマストの柱に寄っかかっているサンジくんの姿は少ししか見えなくて、表情の方は全く見えなかったけどナミが離れた瞬間、決定的な言葉を。
確かに彼がこう言ったのを聞いた。




『ああ、クソ大好きだ。』




「っ!!!」


ガタンっ


ああ、
そっか。

あの2人やっぱりそういう事だったんだ。


終わっちゃった。

初まったばかりだったのに。

「あれ?今※※※が…」

「え、※※※ちゃん?」



タッタッタッタッ…

確実に聞いちゃったよ

わたしってば、
ちょっと抱きしめられて、優しくされたからって浮かれて…。
なにしてるんだろ


「もう…っ」
バタン!


わたしは誰もいない女部屋に駆け込むと、布団をすっぽり被った。


サンジくんだもんね。
私のばかばか。
まんまとはまって、落とされて。
彼は女の子全員に優しいじゃない。
わたしもその中のひとりに過ぎない…

…でもそんなとこも好きだったんだもん!
いつでもみんなに優しくて、仲間思いで、誰よりカッコ良くて、オシャレで、煙草の匂いが混ざった少しほろ苦い良い香りがして、料理の腕も一流で、強くて。

大好きなの。


でも…ナミが相手じゃ勝てる訳ないよ。
入る隙なんてない。


「…っく……っ…ひく…っ」



わー
まずいまずい、どうしよ。
涙止まらないよ。

片想いってこんっなに辛いんだね。
胸が張り裂けちゃいそう…!



こんなに、



こんなに好きなのに…!




わたしこの気持ち、どうしたらいいの?
もう
これが夢だったら良いのに…。

わたし、サンジくんの事好きっていうこの気持ちだけでも本当に幸せって、そう思えたんだよ。
本当だよ?
でももう少し、幸せを味わっていたかった。…失恋なんてあまりに早すぎるよ。


神様はいじわるだ。

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