海の上の日常。

□君の騎士
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「よし、これで大丈夫だ。傷は浅いけど暫くはあんまり激しく動くなよ。」

「ああ、ありがとな。チョッパー。」


医務室。
チョッパーに治療して貰い、傷が背中だった為、大袈裟に胴体を包帯でグルグルに巻かれた。
蹴り飛ばす為に振り返る瞬間、ヤツの持った刃物が背中を掠っちまったようだ。


「下っ端の海軍相手に情けねぇぜ。」

「でも※※※の事守った傷だろ?カッコ良いゾ!サンジ!!」

部屋を後にするチョッパーの言葉に微笑みを向け、煙草を咥える。



しっかし、さっきの※※※ちゃん様子がおかしかったな。
まさか…あの子にまで怪我させてねぇよな?

「……。」

物思いにふけながら、医務室のベッドに横になり煙を吐き出す。



あー。
※※※ちゃんの体、柔らかかったなぁ。
本当はもうちょっとあのまま、くっ付いてたかったが…。
顔真っ赤にしちゃってクソ可愛いったらありゃしねぇ。


あんな可愛い顔して※※※ちゃんはもしかして男に慣れてねぇんじゃねぇか、とか。
そんな事予測してたら、口元が緩んじまった。
ちっちぇ男だぜ。全く。
でもそうだったなら嬉しいとか思っちまうのは、本当に※※※ちゃんの事を独り占めにしちまいたい位想ってるって事で。
恋すると情けなくなっちまうな、男っていうのは。


ガチャ


「あ、※※※ちゃん。」

「サンジくん…」

※※※ちゃんは部屋に入って来るとベッドの近くの丸椅子に腰を下ろす。

「傷、大丈夫…?」

痛々しく巻かれた包帯をみて、心配そうに※※※ちゃんは俺をみた。

(ああ、だから大袈裟だって言ったのにな、チョッパーのやつ。)

「ああ、全然平気さ。痛くも痒くもねぇよ。※※※ちゃんこそどこも怪我はないかい?」

煙草を咥え直し、投げてあったシャツに袖を通し、少しでも傷に目がいかない様にと羽織った。

「わたしはサンジくんのお蔭でどこも!…ごめんね。」

しょぼくれる※※※ちゃんに目をやる。


「わたし、弱いから。海賊船に乗ってるのに戦えないから…。足引っ張ってばっかだよね。…でも!強くなるように頑張るから、だから…


むにっ。

「サ、サウぎくぅっ…?」
訳(サンジくん…?)


片手で※※※ちゃんの顔を持ってむにっと頬っぺたを潰した。


「んな事言うな。※※※ちゃんが足引っ張ってるって?どの口がそんな事言ってんだ?んな事誰も思っちゃいねぇよ。確かに※※※ちゃんは弱ぇよ。」

「う…」

「けど、その代わりに※※※ちゃんには俺達に出来ねぇ事沢山出来るじゃねぇか。同じ事だろ?みんな同等さ。…寧ろ君は世界にも認められてんだ。戦えねぇ位で何も気に病む事はねぇよ。」

「う…でも…サンジくん…。」

※※※ちゃんは優しいから俺が怪我した事を気にしているようだった。

「良いんだ。俺達は戦闘要員なんだぜ?怪我なんて上等さ。それに君を守ってついた傷なら寧ろ幸せさプリンセス。」


にやりと笑って煙を吐き出した。
でも※※※ちゃんはまだどこか不安げで。


「うん!…でももしもの時の為にわたし体鍛える!!ゾロと一緒にトレーニングするよっ!」

と、何やらやる気満々。

お、おいおい。勘弁してくれ!
マリモと2人でトレーニングなんて、俺は見てられねぇぜ!


堪らず俺は※※※ちゃんを抱き寄せちまっていた。

「サ、ササ、サンジ…くん…?」

「全く感情の起伏の激しい姫様だ…。マリモと2人でトレーニングなんてクソ勘弁だぜ?俺の事どうしたい訳?※※※ちゃん。」

「ん…サンジく…くるし…///」


「※※※ちゃんは弱くて良いんだよ。俺が守るんだから。俺が守りてぇんだ。」

「……っ。」

「…そしたら俺はもっと強くなれるから。」

「サンジくん…」

「…了解?」

「ふふ……。りょーかい…っ」


※※※ちゃんは強張っていた体の力を抜くと優しく微笑んだ。



「ふふふふ、しかし※※※ちゃん。柔らかくて気持ちぃな。良い匂いするし…」
(あー、離したくねぇ。天国だ。)

ぎゅうぅ

「な…っサンジくんっ…!」
(心臓!まずいっ!サンジくんに音聞こえちゃうっ!!)


ガシャン!
ガラガラガッシャンッ!!

「お、お、お、お…!!!」


「…お?」
(あぁ、良い所だったのに。)

「チョ、チョッパー…」



顔を上げドアの方を見るとチョッパーが豪快に棚の物を落としていた。
俺達を見て驚いてぶつかったんだろう。※※※ちゃんは俺に抱きしめられている為、無理に首を捻りチョッパーの方へ振り向く。



「おおお前ら何してんだよっ!!?サ、サンジーっ!!離れろぉ!※※※をどうするつもりだっ!」

「おいチョッパー!どうしたそんなに騒いで。」

「ウソップーっ!!」


はいはい、お決まりだな。
折角天国だったっていうのに。
こいつら…。



「どうって…。俺のもんにしようかな?」

グイっとより一層※※※ちゃんを引き寄せた。


「!サンジくんっ!」


「あー!!!サンジ!て、てめぇ何してやがるっ!!?※※※大丈夫か?!チョッパー!確保だ!!確保ーっ!」


「あーもう。クソうるせーな。良いとこ邪魔されちまったし…※※※ちゃん、おやつにしようか。」


名残り惜しいが仕方ねぇ。
可愛い※※※ちゃんにおやつを作る為にキッチンへ向かう。


「サンジくんっ。」


「今日は飛び切り甘いの作るよ。プリンセス。」

続きは今度ね?

※※※ちゃんにしか聞こえねぇ声でそう呟くと、俺のシャツの裾を摘まんで、


「お願いします…」


って小さく言った※※※ちゃん。


「!!!」


その言葉の意味は、おやつの事なのか続きの事に対してなのか定かじゃなかったが。




顔真っ赤にして見つめてくるもんだから、俺期待しちゃうぜ?




はい。
もう期待します。
俺のエンジェル。

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