海の上の日常。
□君にメロメロ。
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「※※※〜っ!あんたって子は最高よー…!!」
「っわぁ!ナミいたいいたい!」
夜。
出航したサニー号の上では宴が行われていた。
「おいおい、まじかよ。この桁…あってんのか?」
「ゾロ君、君が持っていると風で飛ばされそうで怖い。こっちに渡したまえ!し、ししししかし、も、持つのもこえぇーっ!」
「すっげえーっ!!何だこのゼロの数!肉いくつ買えっかなーっ!?」
「すげー!※※※、本当にお前すげーやつなんだな!俺ワタアメ食いたいぞ!あ、あと医学書…!」
「※※※、お前スーパーだぜー!俺ぁお前を見くびってたぜ…恐れ入った!」
「※※※さんっ!わたくしこんな額の小切手は持った事ありません!ではこれはわたくしの頭の中に…
「ちょっとちょっと!あんた達汚い手で触るんじゃないわよ!ブルック!頭にしまうな!こっちにかしなさい。全くもうっ。」
「ナ、ナミく、苦しい。離して…」
ナミに思いっきり抱きしめられたのは良いんだけど力が強すぎて息が止まるかと…
ごめんごめんと頭を撫でながらやっと開放してくれて、わたしは目一杯息を吸い込む。
「※※※、頑張ったのね。おめでとう。」
そう言ってロビンは息が上がったわたしの背中を撫でてくれている。
「うん!ありがとう!」
今日絵が売れて貰った小切手はナミに渡す事にした。
航海する上で何かとお金はかかるし、ナミに渡せばなんだかんだみんな平等に(ではないか…)計画的に使ってくれるし。
「でも※※※、あんたが頑張ったのに先に自分の取り分が無いのはだめよ。」
「へ、良いよ!良い絵が出来ただけでも満足だし!それにわたしが持ってたら無駄な物ばっか買っちゃうからっ!」
「だーめ。じゃあ私が一緒にショッピング行ってあげる。変な物買いそうになったら止めてあげるから…可愛い服たくさん買っちゃいましょ♪」
「おい、ナミ。それお前が買い物行きたいだけ…うぶっ!!」
「あら、良いじゃない。むさ苦しい海賊船では女はより綺麗でいた方が良いでしょー?ね、サンジ君。」
ナミはわたしと反対隣にいたウソップの顔をぐーパンチすると、料理を運んできたサンジくんに振る。
「ああ、ナミさんの言う通りだ。」
「あ、水着とか。」
「み、水着ーっ!?※※※ちゅわんの水着ー!?」
「※※※、水着持ってないものね。夏島に行ったら必須よ。」
うーん、でもわたし泳げないからなぁと言うとナミとサンジくんに水着はそれだけの物じゃないとか力説され。
サンジくんってば鼻血出てるよ?
「おい、※※※。俺から提案なんだが。」
「フランキー、※※※ちゃんの水着ならお前には決めさせねぇぞ。」
まだ作業途中のサンジくんは立ったまま片手に持ったお酒に口を付けつつフランキーに鋭い視線を向ける。
「ああ?!その事じゃねえグルまゆ!」
「フランキーどうしたの?」
わたしが先を促すとフランキーが真っ直ぐにわたしに向き直る。
「お前、アトリエ欲しいんじゃねえか?」
「へ、欲しい…」
「そうだろうよ。材料費はあるんだ。それならば…それならば!俺様がスーパーなアトリエ建ててやろうじゃねぇの!!!」
「えー!!良いの?嬉しいっ!でもどこに??」
「ここに建てりゃあいいさ!海が見える、船の上のアトリエなんてそうないぜ?世界を股に掛けるお前にはぴったりだぜ!スーパーだろ!※※※!?」
フランキーは勢い良く立ち上がると奇抜なポーズを得意げに決める。
「わー!!!!すごい!本当に?!ルフィ良いのかな?」
「にっしっし!良いに決まってんだろ!※※※おめぇ良い顔してんな!」
「やったー!ありがとう!!」
いつの間にか隣にやって来ていたルフィは豪快に笑うとわたしの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
「はは!※※※は可愛いーな!」
満面の笑みでそういうルフィに固まる一同。
「 ………。」
ヒソ…
「あ、あいつがあんなこと言うなんて珍しいわね。」
「ああ。ルフィのヤツが女の子に可愛い何て言ってんの初めて見たぜ…?!」
「おいおい、雪でも降んじゃねぇのか?気色悪りぃ。」
ナミ、ウソップ、ゾロがひそひそと何か呟いた。
「あら。ルフィも男の子だものね。※※※の事が好きでもおかしくないわ。」
ね?コックさん?とロビンちゃんが俺を見る。
…。
好き?
ルフィのヤツが※※※ちゃんを好き?!
そんなの溜まるかってんだ!
そりゃ可愛くて好きになっちまうのは痛てぇ程わかるが、俺の大事なエンジェルちゃんに手ェ出されちゃ困る!
「おいおい!こらてめぇ!※※※ちゃんに気安く触んじゃねぇよ!!船長だからって許さねぇぞっ!こルらぁ!」
「いてててて、何怒ってんだよサンジ!痛てぇよおぉーっ!」
騒ぐ2人を気にもせずフランキーは続ける。
「まぁ、もう甲板の上に建てるしかスペースはねぇし、大いに危険を伴うアトリエだが、そんなの船に乗った時から覚悟の上だろ?」
「…うん!大丈夫!気にしない!」
「いや少しは気にしろよ。」
ビシッと素早いツッコミをいれつつウソップが※※※のコップにお酒をついだ。
いつの間にかブルックがギターを手に歌い始め、ルフィとチョッパーが踊り回る。他のみんなもお酒を片手に陽気に盛り上がり始めていた。
「ほら飲め飲め※※※!今日はお前の宴だぜ?!」
「ありがと!…でもね、まだサンジくんが忙しそうだし…」
サンジくんさっきまでいたと思ったらまたキッチンへ戻ったみたい。
いつもサンジくんは宴の時忙しいんだよね。
たまにはゆっくり飲ませてあげたいなぁ…
と思うけどやっぱり料理はサンジくんのじゃなきゃ。ね?
「あんたってば本当可愛いわねぇ。大丈夫よ、サンジくんも隙をみてちょこちょこ飲んでるから。」
「う、うん…」
確かにさっき飲みながら歩いてたな。
ながらで飲んでるサンジくん…
似合ってたなぁ、何であんなにかっこいいんだろ…
って考えただけでどきどきしてきたよ!
あ
喉仏がセクシーなんて思ってないよ!
いや思ってしまったんだけど!
わーどこ見てんだわたし!!!
「お、おい※※※大丈夫かよ?まだ飲んでないのに顔真っ赤だぜ?!」
ウソップに顔を覗き込まれ、ナミに鼻を突かれハッとする。
「ははーん、またサンジくんのこと?」
びくっ!
「え?!そうじゃなくて…!」
「でもアトリエが出来たら※※※も一安心ね?」
(ん?何かナミ企んでる顔?)
「…うん?もっと制作に集中出来るしっ!楽しみ!」
ナミはニヤリとすると片手でわたしの頬っぺたを両側から潰す。
むに。
「にゃ、ニャミ?」(ナ、ナミ?)
「※※※あんた、まだなんでしょ?」
「ふぇ?」
「ん?何がだよ??」
ニヤニヤするナミに反してわたしとウソップは何が何だかわからず顔を見合わす。
「今後の展開聞くのが楽しみだわ♪」
「え?え?ナミ?なに?なにが?」
「ふふ。エッチ。サンジくんと。 」