海の上の日常。

□乙女の午後
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「ううん…何か落ち着かないなぁ…」


街の入り口付近にある小洒落たカフェ。
外のテーブル席に座りわたしは今、愛しの彼を待っている。
可愛いカップに入れられた、珍しい綺麗なピンク色したココアを見つめながら、サンジくんに見せたら喜びそうだななんて思いつつ…。

ここは春島。
爽やかな優しい風が吹いて、心地良さに思わず目を閉じる。


しかし。
わたしはそわそわしていた。



(うう、なんか。どきどきするよ…)




一時間程前。
______ _


「あら、※※※。」

「あ!ロビン!」


自信作でもあった作品は良い値で買い取ってもらえたし、ナミを喜ばせてあげよう!なんて思いつつ、上機嫌でギャラリーを出るとロビンとばったり。

折角だから、奢るよ!何て言って。たまには女の子2人で甘い物でも食べに行こうとロビンとデートする事になって喫茶スペースのついた可愛いケーキ屋さんに入った。




「それでどうなの?コックさんとは。うまくいってるのかしら?」

「うん!へへへ」


ロビンはコーヒーとモンブラン。
わたしは紅茶とフルーツタルトを口に運びつつ、始めは船には慣れたかなどそんな話をしていたけど、暫くすると自然と会話はサンジくんの事になっていた。

「で、どこまでいったの?」

「っ!…けほけほっ…!」


ロビンからそんな事聞いてくるとは思ってなかったわたしは不意を突かれて、飲んでいた紅茶でむせてしまった。
あら大丈夫?なんてナプキンを渡してくれながらも、ロビン顔笑ってるってばっ!

「…う」

「※※※、顔真っ赤よ?思い出しちゃった?彼のこと。」

そういうと片肘を付いてクスクスと嬉しそうに笑うロビン。



「う、えっと…サンジくんってさ…わたしのこと子供だと思ってるのかな?」

「え?…あら、どうして?」

わたしの言葉が予想に反していた様でロビンは少し目を丸くしていた。

「だってね、あんなに女の子大好きなサンジくんが…」

__ _


キス以上の事は中々してこないの。
わたしが子供っぽいからかなぁ。
色気が足りないのかな。なんて。
※※※が言うものだから。
可愛いくってぎゅっと抱きしめてあげたくなったわ。



「ナミやロビンの体にはすぐメロメロしてるのに。魅力ないのかな…」

もっと露出しなきゃだめなのかなぁなんて真剣に頭を悩ませている彼女。


「ねぇ※※※。それ、違うのよ。」


「え?」


「こんな風に言うのも可笑しいけど、コックさん、※※※の体に一番メロメロしてるからこそメロメロ出来ないの。」

もちろん体にだけにじゃないけど、話の流れね。と付け足す。
どういうこと?と※※※は少し眉を寄せて私を見つめる。


「我慢してるからよ。本気のメロメロだから欲望を抑えるのにいっぱいいっぱいなのよ、彼。だから軽々しくできないんでしょうね。私達に反応してる様な余裕な態度は※※※には難しいみたい。今はね。」

我慢しなくて良いなら別でしょうけどね。と添えた。


「ん?え、サンジくんがガマン…?」


「ええ、あなた気づいてないの?」


※※※はぶんぶんと首を振る。


「だってサンジくんいつも余裕な態度で…。たまにデレデレもするけど。キスする時だって大人で…。わたしが子供っぽ過ぎてそれ以上の事にならないのかと…」


「ふふ、※※※の為だと思うわ。大事にされてるのね。彼がそれだけするなんて結構なものだと思うわよ?」


「そうなのかな…」


「はたから見てると良くわかるわよ?愛されてるのね、※※※。」


そう言って※※※の鼻をツンとつつくと、顔を赤くしてはにかんで。
本当に彼の事が好きなのね。


「でもサンジくんに我慢させちゃってるなんて。わたし、サンジくんのこと大好きなのに。」


「※※※は…どうなの?先に進みたいの?」


「う…うん!わたしサンジくんなら…どんとこい!」



そういうと胸をドンと叩き真剣な顔を作って見せる※※※。
この子何の事かちゃんとわかってるのかしら?

ちょっと不安だわ…。
まあ、何にしろ色々なことは彼に教えてもらえば良いわ。ね。


「なら少し彼を楽にしてあげると良いわ。」

「らく??」

「※※※、こっちから迫っても良いのよ?」


「…うん…今まではサンジくんがどう思ってるのかわからなかったから。でもね!ロビンのおかげでサンジくんがわたしの事子供扱いしてるんじゃないってわかったから…わたしがんばる!」


※※※は両手でガッツポーズをするとありがとうと微笑んだ。

確かに余計な心配かもしれないわね。
この子意外と大胆だし。
無意識に小悪魔なとこあるし。
ただこういう事の知識は少ない様子だから、アドバイスはしてあげた方が良さそうね。コックさんの為にも。
とりあえず…

「※※※、少し買い物に行きましょ。」


*・・*:.。..。. .:*・゜゚・*



「はう……」


わたしは足もとに置いてある黒とピンクのストライプの紙袋をちらりと見た。


あの後ロビンの勧めで下着を買いに行く事になり。

普段から割と可愛いものは着けてはいるけど。
いつもよりちょっとランクが上というか…
紐パンやら。レースがたくさんのフリフリで可愛い少し気合いが入った下着を購入。結局可愛いピンク、白、セクシーな黒の3セットに加え、一目惚れしたベビードールまで買ってしまった。


サンジくんと待ち合わせしてるのにこんな袋を持ってるなんて何だか落ち着かない!

洋服が入っているといえば全然ばれないのだろうけど、気持ち的に…。
何だかどきどきそわそわしてしまう。


『コックさん喜ぶでしょうね。※※※あなたはもう最強よ。』

なんて。
ロビンはいたずらっぽく笑って。
何だかいざ新しい下着をこんなに購入しちゃうと気合いが入り過ぎてるみたいで恥ずかしい。


「…ああサンジくんごめんなさい。」


だってこれじゃわたしがサンジくんのことエロい目で見てるみたいで!
いや、完全に否定は出来ないけど!
違くて!
一人だっていうのに恥ずかしくなって両手で顔を覆って俯いた。



でもサンジくんに見せるためとかだけじゃなくて、可愛い下着を着けるのは私だって楽しみだし。
もう一度紙袋を見て、思わずにっこりしてしまった。





とりあえず今夜お風呂に入ったら、早速つけてみようかな。





さてさてわたしの愛しのコックさんはまだかな?

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