ディアラバ

□にいちゃ! 4
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ぴんぽーん

逆巻家の屋敷中に響くインターホン


「はーい」


ユイが駆け足で玄関に駆け下り、ドアを開けると

そこにいたのは黒髪の青年と小学生と思しき少年たちが3人


「えっと…どちら様?」

「…貴方も誰ですか?」


お互いが困ったような顔をしていると、ユイの後ろからシュウが現れた


「あぁ、来たのか。ま、とりあえずめんどくさいから入れ」

「えっ、シュウさん、この人たち…」

「お前客人の邪魔」

「えっ、あっ、すみません!」


ユイが慌てて退くと、すまないなと黒髪の青年と後からの小学生たちが入ってくる

すると、突然バタバタと足音が近づいてきて、そちらに目をやるとレイジ以外の弟たちが階段のところに顔を見せていた


「おー!!ユーマたちだー!」

「ユーマ…?」

「よぉ、おまえらー!おい、アヤト!俺の新しいカードで勝負しろ!」


あぁ、とユイはあることを思い出す

よくカナトくんたちから名前を聞く子たちだ

たしか、三つ子達と仲がいいのはコウくんとユーマくんで、スバルくんからはアズサくんという名前をよく聞く

どうやら髪をまとめている小5、6年生くらいだと思った背の高い男の子がユーマくんらしい


「アズサ、外行こう」

「うん…」


スバルくんがそういって外に連れ出して行ったのが、傷だらけの黒髪の男の子。あれがアズサくんか…

お兄さんかお父さんらしき人が"3時に一旦戻って来いよー!"と呼びかけていた

じゃあ、あの子がコウくんってことだよね


「ね、ライト、カナト。お姉さんだれ?」

「あぁ、ユイお姉さんっていうんだ。」

「少しだけ一緒に住むことになってるんです」


二人の説明を受けてふーんと相槌をうつと、コウくんはこちらに近寄ってきた


「無神コウです!よろしく、ユイお姉ちゃん!」


にこっととても可愛い笑顔で挨拶

かっ、可愛い…


「んふ、お姉さん、こいつの笑顔に騙されちゃだめだよ?」

「えっ?」

「そーですよ。腹黒って言葉の意味がわかりますから」

「ちょっとー、変なこと言うなよー」


…まだ小3だし、意味わかってなくて言ってるんだよね…?


「お前らも早く遊びにいけ」

「はぁーい。僕たちも庭に行こう!」


ライトくんが仕切って、三人が遊びに行った

黒髪の男の人と目があい、その人は苦笑した


「悪いな、騒がしくて」

「あ、いえ。私は小森ユイです」

「あぁ…シュウから噂は聞いてた。俺は無神ルキ。よろしく」


ルキさんはシュウさんのクラスメイトの友人だと紹介された

なんでも二人とも共感するお兄ちゃんトークが絶えないらしく、シュウさんによるとかなりのブラコンらしい

じゃあやっぱりルキさんも長男なんだ…

三人でお茶しながら話をして過ごすことになった


「ふーん。ユイさんも大変だったんだな。こんな小学生館に来て」

「一言余計だ」

「でも、楽しいですよ。皆いい子だし」

「へぇ。まぁうちの弟たちも負けてないいい子だけど」


ルキさんがどや顔になって腕を組むと同時にシュウさんの顔が露骨に嫌そうな顔になった

本当に弟が大事なんだなぁ、と私も思った


「というか、聞いてくれ。学校で朝顔とトマトを育ててるのは聞いたか?」

「あぁ、なんか水やりがめんどくさいって愚痴られた」

「アズサもコウもそう言っていたんだが、何故かユーマは凄い楽しそうでな…この前トマトとイチゴの種を買ってくれって言われて、買った」

「ユーマくんって、あの背の高い子ですよね?私、小6くらいかと思っちゃいました」

「あー、なんかあいつ背と声が日に日にでかくなっていってるんだ…そのうち俺を超えるんじゃないかと思うと…」


たしかに、他の皆はシュウさんとルキさんの腹くらいまでの背なのに、ユーマくんだけルキさんの肩くらいの背とだったことを思い出す

もうすぐ私を抜きそうだ

ユーマくんが異常なんだろうけど、それでも小3に負けるのはやだなぁ…


「ユーマ、最近態度もどんどんでかくなっていってるよな。お前、あんまり甘やかすなよ」

「わかってるよ…」

「そういえばアズサくんは傷だらけですけど、なんでなんですか?」

「あぁ…あいつ…かなりドジで…」


おそらく外にいるアズサくんのことを考えているのだろう、ルキくんの目線がどこかはるか遠くに出かけて行ってしまっている


「アズサは何もないところでよく転ぶくせに外で遊ぶの大好きだからな」


シュウさんですら少し心配そうな顔をしている。そんなにドジな子なんだろうか…


「まぁスバルがしっかりしてるからなんとか回数は減らしてくれるだろうが…」

「スバル、なんかアズサを弟扱いしてるように見えるがな」

「それをいうならユーマとアヤトだろ。絶対ユーマのやつ、アヤトを自分の弟分かなんかだと思ってる」

「…ルキさんとシュウさんって、どういう関係なんですか?」


先ほどから疑問だったことを口にする

二人ともお互いの兄弟のことをよく把握しているようだし、それにこの二人も仲がいい


「あー…親同士がちょっとな」

「えっ、じゃあ幼馴染とかですか?」

「まぁそうなるな」

「もうどれくらいになるんだ?」

「物心ついたときにはお前のことは知ってたさ」


そういいながらシュウさんはスコーンをかじる

物心ついたときにはって…結構前じゃ…


「まぁ、はじめらへんはあんまりいい思い出はないけどな」


ルキさんが苦笑交じりに言った


「えっ」

「シュウもこんな大人びてなかったし、俺はこんなに喋るガキじゃなかったんだ」

「えっ、大人びてないシュウさん?」

「あぁ。俺の家だったらアルバムでもなんでもあるんだが、どうせ見せる気ないだろ?」


ルキさんの言葉にシュウさんは無言で紅茶をすすって肯定の意を表す


「もっと無邪気で可愛げがあったんだがなぁ…」

「余計なお世話だ」


無邪気で可愛げがある小さいシュウさん…かぁ

そんな想像のできないシュウさんを見てみたいなぁと思いつつ、二人の話を聞いていた









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三つ子の遠足話を書いてたらデータ消えて泣きそうになりました。

まだまだ続くよ!

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