花紅柳緑
□月が欲しいと泣く子供
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司馬 遼太郎
1 世のためにつくした人の一生ほど、美しいものはない。
2 人間は、鎖の一環ですね。はるかな過去から未来にのびてゆく鎖の。
3 人の諸々の愚の第一は、 他人に完全を求めるということだ。
4 欲は才を走らせる火のようなものだ。
5 人間にとって、その人生は作品である。
6 親分――英雄――は流民に食を保障することによって成立し、 食を保障できない者は流民に殺されるか、身一つで逃亡せざるをえない。
7 人間は決して、 孤立して生きられるようには、 作られていない。
8 何事か成し遂げるのは、 才能ではなく性格である。
9 勇気と決断と、 行動力さえもちあわせておれば、 あとのことは天に任せればよい。
10 英雄とは、自分だけの道を歩く奴のことだ。
11 名将の条件は、ひたすらに運である。
12 一生に一度ぐらい手品もいいだろうが、物事にゃ実がなくちゃ人はついてこない。
13 奇策とは百に一つも用うべきではない。 九十九まで正攻法で押し、あとの一つで奇策を用いれば、みごとに効く。 奇策とはそういう種類のものである。
14 事をなさんとすれば、智と勇と仁を蓄えねばならぬ。
15 慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。 慎重は下僚の美徳じゃ。 大胆は大将の美徳じゃ。
16 人間のいのちなんざ、使うときに使わねば意味がない。
17 世の既成概念を破るというのが、真の仕事である。
18 人の生涯は、ときに小説に似ている。 主題がある。
19 小説というものは、迷っている人間が書いて、迷っている人間に読んでもらうものなのです。
20 人の世に、道は一つということはない。 道は百も千も万もある。