花紅柳緑
□月が欲しいと泣く子供
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太宰治
1 幸福の便りというものは、待っている時には決して来ないものだ。
2 人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。
3 大人とは、裏切られた青年の姿である。
4 人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。
5 愛することは、いのちがけだよ。
6 騙される人よりも、 騙す人のほうが、数十倍苦しいさ。
7 信じられない。僕の疑惑は、 僕が死ぬまで持ちつづける。
8 他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。 それはね、ひめごと、というものよ。
9 美しさに内容なんてあってたまるものか。 純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。
10 信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。
11 学問とは、虚栄の別名である。人間が人間でなくなろうとする努力である。
12 神に問う。信頼は罪なりや。 果たして、無垢の信頼心は、罪の源泉なりや。
13 人間、失格。もはや、自分は、完全に、人間でなくなりました。
14 議論とは往々にして妥協しがたい情熱である。
15 駄目な男というものは、幸福を受け取るに当たってさえ、下手くそを極めるものである。
16 何もしないさきから、僕は駄目だときめてしまうのは、それあ怠惰だ。
17 いまの世の中で、一ばん美しいのは犠牲者です。
18 人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。
19 あさましくてもよい。私は生き残って、 思うことをしとげるために世間と争っていこう。
20 元気で行こう。絶望するな。では、失敬。